2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダブル・マイクロアレイによる肝癌発生・進展に関わる新規遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
20590752
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中馬 誠 北海道大学, 北海道大学病院, 助教 (30360910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 客員研究員 (80333607)
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Keywords | マイクロアレイ / 網羅的探索 / 肝癌発生 |
Research Abstract |
慢性肝炎、肝硬変において、腺腫様過形成および異型腺腫様過形成という前癌状態を経て、高分化型肝癌が発生し、次第に中分化型、低分化型肝癌へと組織学的に進展していくと考えられている。長い年月の間に、炎症反応が誘導する多くの増殖と変異に関わる遺伝子異常が段階的に集積して、最終的に肝細胞癌が発症すると推定されているが、肝癌発生の分子機序には、依然として不明な点も多い。 本研究では、慢性肝炎、肝硬変、肝癌患者の結節性病変に対し狙撃生検を施行し、その生検試料を用いてmicroRNAおよびmRNAを採取した後、アレイ検索を行い、発癌・進展の各段階におけるmicroRNAの発現プロファイルの比較検討を行う。その解析結果に基づき、癌化に伴い発現量の著しく変化しているmicroRNAを選択し、in vitro、in vivoの機能解析により細胞の癌化との関与を検討することを目的とする。 肝組織よりmRNAおよびmicroRNAを抽出し、それぞれのマイクロアレイを実行し、その発現プロファイルをデータマイニングにより解析を行った。患者検体数が少なかった為、現在までの所、microRNAには統計学的に有意な変化示しているものを見出せていない。しかし癌化に伴い、非癌部に比較して、RNA結合タンパク質の一つであるRBM5の発現量が低下していること見出した。RNA結合蛋白質(RBP)は、mRNAのスプライシング、核外輸送、細胞質内局在、安定性及び翻訳効率の調節などの転写後遺伝子発現調節において重要な働きをしていることが知られている。またRBM5は、癌細胞の細胞増殖、アポトーシスに関与していることが報告されている。今後は肝癌細胞株を用いて、RBM5の癌化における細胞学的な意義を検討していく予定である。
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