Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)が肝細胞に感染すると,自然免疫系によりインターフェロン(IFN)が誘導される.IFN誘導分子(MxA,PKR,OASなど)はHCV増殖を抑制する.昨年に引き続き,IFN誘導分子であるPKR,MxA,OASの抗HCV効果について検討し,またOASの遺伝子多型(SNP)とC型肝炎の病態との関連を検討した.まず,PKR,MxA,OASのいずれも,強制発現によりHCV subgenomic repoliconおよびJFH1 full-length HCV genomeの複製を抑制した.しかしながら,ノックダウン細胞を用いた解析では,MxAはIFN添加(治療)時のHCV増殖抑制に必須であるが,PKR/OASは必須でないことが明らかになった.409例のC型肝炎患者において,OASのSNPと臨床病態との関連を検討した.OASのA4119G(Ser to Gly)多型は肝硬変と関連しており,機能的にはHCV増殖抑制能が弱かった. また,最近になりHCVコア蛋白の第70番目アミノ酸の置換が発癌やPEG-IFN/リバビリン併用療法に対する抵抗性に関与していることが報告された.そこで,データベースからHCVコア領域のシークエンスをダウンロードし非癌患者および肝癌患者で比較したところ,確かにコア蛋白の第70番目アミノ酸の変異型は肝癌と関連していた.また,コア蛋白第70番目アミノ酸の野生型および変異型の個別定量法を確立し,PEG-IFN/リバビリン併用療法を行った患者におけるそれぞれのdynamicsにつき検討した.ほとんどの患者においてHCVコア領域70アミノ酸の野生型と変異型が混在しており,変異型優位の症例ではPEG-IFN,リバビリン併用療法に治療抵抗性であるにもかかわらず,同一患者内における野生型と変異型HCVのdynamicsには違いがなかった.
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