2010 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウイルススプライシングバリアントによる慢性肝炎の制御
Project/Area Number |
20590763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
四柳 宏 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30251234)
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Keywords | HBVコア遺伝子 / アミノ酸置換 / Splicing Variant |
Research Abstract |
(1)「研究の目的」で述べた、肝炎沈静化におけるHBVコア遺伝子のアミノ酸配列に関して検討した。その結果、(1)Basic Core Promoter領域の変異(nt.1762)が少ないほど肝炎は沈静化しやすい。(2)肝炎が沈静化しやすい症例でコア遺伝子のアミノ酸置換数がより多い。(3)CD4 epitope領域のアミノ酸置換が起こることが肝炎の沈静化と関連する可能性がある。一方B cell epitope領域のアミノ酸置換が生じないことが肝硬変、肝細胞癌への進展と関連する可能性がある。点が明らかになった。 (2)C領域未端からPreS-S領域の欠失をまたいだ領域、BCP領域からC領域を増幅するprimerをそれぞれ設定し、PCRを行い、欠失部位のPCR productの配列及び泳動パターンを見た。HBe抗原陽性の無症候性キャリアではWild typeのクローンが有意であり、肝炎の発症と共にdeletion mutantが出現してきた。肝炎が沈静化しHBe抗体陽性となった症例はdeletion mutantが有意となったが、肝炎が沈静化せず肝硬変、肝細胞癌に進展した症例ではWild typeのクローンが有意のままであった。 (3)研究の中心であるHBV Splicing Variantに関しては、得られたクローンの詳細な解析を行った。core領域末端からPreS領域全体およびS領域の一部まで(nt.2448~488)(nt.2448~2934、3019~488)のdelection、core領域内(nt.2088~2349)にdeletionを有するクローン(2.1kb長)がsplicing variantの主体であったが、この他に6種類のSplicing Variantが存在した。このうち3種類はコア領域のアミノ酸の大きな欠失(67AA,87AA)を伴っていた。
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