2009 Fiscal Year Annual Research Report
超音波エネルギーを利用した多剤耐性肝癌の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
20590765
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
峯村 正実 University of Toyama, 大学病院, 講師 (10313602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 照美 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 准教授 (60240777)
杉山 敏郎 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 教授 (00196768)
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Keywords | 超音波力学 / 多剤耐性遺伝子 / 肝癌 |
Research Abstract |
平成21年度は、『超音波エネルギーを利用した多剤耐性肝癌の新しい治療法の開発』における超音波照射の基本的な条件設定、ターゲットとする肝細胞癌細胞株ならびに多剤耐性遺伝子が誘導された癌細胞株への超音波照射による薬剤感受性の変化やアポトーシスの誘導などの基礎的な検討を継続した。 (1)超音波照射による抗癌剤の増感効果の検討:抗癌剤(Doxorubicin:DXR)に感受性あるMES-SA細胞と多剤耐性遺伝子が誘導されDXRに耐性をもつMES-SA/Dx5細胞を用いて、超音波照射の有無におけるDXRへの感受性の変化を細胞数とWST-1アッセイで検討し、さらにアポトーシスの検出をフローサイトメトリーを用いたAnnexin V/PI apoptosis kitとDNA fragmentationアッセイで検討した。超音波発生装置はSonicmaster ES-2を用い、35mm dishに培養した細胞に下方から超音波を照射し、照射後24時間の細胞を用いた。DXRの処理時間、超音波の照射のタイミングを変えた群を設定し、至適な条件を再度検討した。(1)超音波とDXRの組み合わせでは、DXRで24時間処理後に0.5W/cm^2の出力で超音波を照射した群で、有意な多剤耐性細胞株の感受性の増加が認められた。(2)処理した細胞群では、viabilityの低下とAnnexin V(+)/PI(+)の増加との相関が認められたが、DNA fragmentationの結果と相違が認められた。(2)薬剤耐性関連遺伝子群の発現の検討:肝細胞癌細胞株およびMES-SA細胞・MES-SA/Dx5細胞における超音波照射による薬剤耐性関連遺伝子群(MDR1,MRP,MRP2,BCRP)の遺伝子の発現の変化をリアルタイムRT-PCR法により確認した。超音波により薬剤耐性関連遺伝子群の発現は大きく変化しなかったが、再度検討中である。(3)超音波照射による分子標的薬の効果の変化についての検討:多剤耐性遺伝子が誘導されDXRに耐性を示すMES-SA/Dx5細胞に分子標的薬(マルチキナーゼインヒビターの1つsorafenib)を作用させ、分子標的薬と多剤耐性因子との関連について検討した。超音波照射により分子標的薬の感受性に変化が認められているが、再度検討中である。
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