2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化された26Sプロテアソーム会合分子ガンキリンによる肝癌発生機序の解析
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20590773
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東辻 宏明 京都大学, 医学研究科, 助教 (60281094)
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Keywords | 原発性肝癌 / モノユビキチン / 26Sプロテアソーム / ガンキリン / PIP |
Research Abstract |
蛋白質の翻訳後修飾のうち、ポリユビキチン化が蛋白質を分解の方向にターゲットするのに対して、リジン残基のモノユビキチン化やそのほかのubiquitin-like modifiers (ULM)による翻訳後修飾は、その蛋白質の機能変換シグナルとして機能している。システイン残基のS-nitrosylationも蛋白質の機能変換シグナルとして機能している。肝臓がん細胞株によるin vivoでのユビキチン化、nedd8化、ISG15化、S-nitrosylationを確認したところ、ガンキリン分子はモノユビキチン化、モノnedd8化、モノISG15化、S-nitrosylationされていた。in vitroのユビキチン化、nedd8化、ISG15化のアッセイ系でも同様の結果を得た。ガンキリンのモノユビキチン化、モノnedd8化、モノISG15化をうけるリジン残基はすべて同じ16個のリジン残基のうちのN端から10番目のリジンであった。 S-nitrosylationは107番目のシステインが受けていた。モノユビキチン化はconstitutivelyに起きる。モノnedd8化は酸化還元ストレス下で起こる。モノISG15化はインターフェロン刺激時に起こる。ガンキリン分子はそのほかのULM、SUMO1、2、3化やURM1化は受けなかった。S-nitrosylationは酸化還元ストレス下で起こる。野生型ガンキリンとモノユビキチン化、モノnedd8化、モノISG15化ガンキリン(C端にユビキチン、nedd8、ISG15を一個融合したガンキリンを代替分子として実験に供した)の癌化能等を比較した。REF細胞の癌化はモノnedd8化ガンキリンのみが野生型に比べて亢進していた。モノユビキチン化ガンキリンは癌化能が野生型より抑制された。モノISG15化ガンキリンは全く差がなかった。モノユビキチン化ガンキリンはタンパク分解を受けやすく、野生型ガンキリンより不安定となった。モノユビキチン化が契機となりガンキリン分子のポリユビキチン化が早急に起こり26Sプロテアソームで分解されることが判明した。モノnedd8化ガンキリンはp53よりpRBのほうにより結合しやすく(複合体を形成しやすく)、MDM2の基質特異性を変化させ、pRBをより分解する傾向を示した。p16INK4aのcdk4への結合阻害はなかった。転写因子NFkappaB(RelA)の活性化抑制は見られなかった。細胞内での局在は野生型ガンキリンが主に細胞質での分布を示すのに対して主に核に見られた。プロテアソーム結合タンパクとしてのガンキリンのモノnedd8化は26Sプロテアソームの機能(ペプチドやモデルタンパクの分解)を全体的に亢進した。モノISG15化ガンキリンは検討した限り、野生型のガンキリンとの差異は見いだせなかった。
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Research Products
(1 results)