2010 Fiscal Year Annual Research Report
HBV持続発現小動物モデルを用いたHBV複製機構ならびにHBV変異誘発機構の解明
Project/Area Number |
20590776
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 和良 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 肝胆膵内科, 副部長 (80432540)
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Keywords | B型肝炎ウイルス変異 / 無症候性HBVキャリア / 活動性B型肝炎発症 / HBV増殖活性 / インターフェロン-γ |
Research Abstract |
本年度は以下の2つの検討を行った。 (1)HBVキャリアの無症候期から肝炎期への移行におけるウイルス変異の役割についての検討 本検討では8.3年の経過観察の後に活動性肝炎を発症した無症候性HBVキャリアの1例から経時的に採取した血清よりHBV全長の塩基配列を同定した。合計11カ所の点変異と2種類の欠失変異が検出されたが、これらの変異はいずれも肝炎発症と関連して出現していた。培養細胞へのウイルス遺伝子の導入実験において、肝炎発症前より発症後のウイルスで有意にHBV増殖活性の低下が認められた。以上よりHBVキャリアの肝炎発症時に起こるHBV変異はウイルス増殖低下をきたし、このことはHBV持続感染維持のためのウイルス側の適応反応であることが示唆された。(Biochem Biophys Res Commun 2010:394;574-80)(2)in vivoにおけるHBV排除におけるインターフェロン-γの影響についての検討hydrodynamic法にてマウス肝にHBV遺伝子導入を行う系におけるHBV複製は、ヌードマウスを用いた場合数ヶ月以上保持されるが、免疫系の正常なBALB/cマウスを用いた場合約2週間で認められなくな-る。本検討ではBALB/cマウスとインターフェロン-γノックアウト(GK0)マウスを用いて、上記のin vivo HBV遺伝子導入系を施行した。その結果、HBV遺伝子導入後における肝内でのHBV RNA発現、血中HBV DNA量、血中HBs抗原量はいずれも両者に差を認めず、さらにGKOマウスにおいてもBALB/cマウス同様、遺伝子導入後2週間までにHBV発現は消失した。以上よりin vivoにおけるHBVの初期排除の過程において、インターフェロン-γはあまり重要ではない可能性が考えられた。(unpublished data)
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Research Products
(4 results)