2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝発癌における鉄代謝異常と脂質代謝異常のクロストーク
Project/Area Number |
20590782
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
日野 啓輔 Kawasaki Medical School, 医学部, 教授 (80228741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是永 匡紹 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70420536)
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Keywords | C型肝炎 / トランスジェニックマウス / 肝脂肪化 / 鉄過剰 / 小胞体ストレス / 活性酸素 / SREBP1 |
Research Abstract |
1. 軽度の鉄過剰餌で飼育したHCV全遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(HCV TgM)は通常餌で飼育したコントロールマウスに比べてcarnitine palmitoyl transferase 1(CPT1)の発現が低下していた。 2. 鉄負荷HCV TgMはコントロールに比べてsterol regulatory element binding protein 1c(SREBP1)の発現が亢進していた。 3. 鉄負荷HCV TgMはコントロールに比べて小胞体ストレスセンサーシグナルであるunspliced XBP1, spliced XBP1,phosphorylated eIF2α,CHOPの発現が亢進していた。 4. 鉄負荷HCV TgMはコントロールに比べて肝内の活性酸素産生量が亢進していた。 5. 抗酸化剤(N-acetylcystein)投与により鉄負荷HCV TgMの肝内脂肪沈着は著しく改善した。 以上の成績はHCV TgMにおいては鉄負荷により肝内の脂肪沈着が亢進する機序として、脂質関連転写因子であるSREBP1の発現亢進と脂肪酸分解の低下(CPT1の発現低下)が関与していると考えられる。但し、CPT1の低下についてはSREBP1の発現亢進に伴う脂肪酸合成亢進によるnegative feedbackの可能性も考えられる。SREBP1の発現亢進の機序のひとつとして小胞体ストレスの亢進が考えられ、これにはHCVタンパク存在下における鉄過剰による活性酸素の産生亢進が関与している可能性が考えられた。
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