2008 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎発症におけるKupffer細胞の2面性機能異常の重要性
Project/Area Number |
20590785
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小野 正文 Kochi University, 教育研究部医療学系, 講師 (70304681)
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Keywords | NASH / NAFLD / Kupffer細胞 / エンドトキシン / 貪食能 |
Research Abstract |
これまで、アルコール性脂肪肝炎などではKupffer細胞の貪食能低下によるエンドトキシンの増加が肝障害の原因として重要であることが以前から指摘されており、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)においても同様の機序が存在するものと想定されてきた。そこで、20年度の研究で我々は、SPIO-MRIや蛍光ビーズ貪食評価などを用いた手法で、MCD食誘発NASHラットのKupffer細胞貪食能が低下していることを明らかにした。さらに、上記ラットモデルで確立したSPIO-MRI撮影方法を用いてNASH患者のKupffer細胞の貪食能の評価を行ったところ、C型慢性肝炎患者に比しNASH患者ではKupffer細胞貪食能の明らかな低下を認めた。そして、そのKupffer細胞の貪食能低下は、脂肪化の程度と強い相関関係があることも明らかとなった。また、形態学的検討の結果、KASHのKupffer細胞はC型慢性肝炎や正常肝と比べ膨化しているおり、既に過食状態になっていることが確かめられた。さらに、貪食能低下と炎症性サイトカイン過分泌の2面性機能異常状態はNASHの特微的異常状態であり、この状態がNASH発症、増悪に重要であることも明らかとなった。NASH動物モデル、NASH患者でもエンドトキシン血症が認められることが報告されており、その原因の一つとして今回我々が検討を行ったKupffer細胞貪食能低下が重要であることも明らかとなった。 以上、明らかになった研究結果は、2008年、第43回ヨーロッパ肝臓学会総会にて発表し、Best Poster Presentation Award受賞という高い評価を得た。
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