2010 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎発症におけるKupffer細胞の2面性機能異常の重要性
Project/Area Number |
20590785
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小野 正文 高知大学, 教育研究部・医療学系, 講師 (70304681)
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Keywords | NASH / NAFLD / Kupffer細胞 / エンドトキシン |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病因・病態は不明な点が多いが、近年その病態の一部にKupffer細胞の機能異常が関わっていることが指摘されるようになった。そこで本年度の研究課題として我々は、貪食能異常を中心としたKupffer細胞の機能異常につき実験動物およびNASH患者において検討を行った。NASHモデルラットを用いた蛍光ビーズ貪食実験の結果などから、NASH肝において脂肪化を来す早期の段階からKupffer細胞は膨化しており、TNF-αなどのサイトカインが過剰に分泌されるようになるが、それと同時に貪食能が低下することが明らかとなった。また、SPIO-MRIにて貪食能低下を評価できることがNASHラットを用いて明らかになったため、NASH患者についてSPIO-MRIを用いてKupffer細胞貪食能を比較したところ、他の肝疾患に比べ貪食能が低下していることが明らかとなった。さらに、それは脂肪化の程度に逆比例することも明らかとなった。これらのことから、肝脂肪化の比較的早期からKupffer細胞の貪食能の膨化と貪食能の低下およびサイトカイン過剰分泌が起こることが分かった。以上の結果は、数々の学会や研究会への発表とともに、2010年にGUTに論文掲載された。 さらに、Kupffer細胞の活性化を介したNASH発症におけるToll Like receptor 4(TLR4)の役割についての検討については、TLR4欠損マウスを用いたNASHモデルマウスでは、飼育早期において肝の脂肪化に抑制がかかるが、長期飼育では肝の脂肪化に影響を与えないことが明らかとなった。これは、TLR4欠損の役割を他のTLRが担うことによるKupffer細胞の活性化抑制の相補効果があることが示唆される結果となった。今後、詳細な検討をした上で、論文発表を行う予定である。
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