2009 Fiscal Year Annual Research Report
レニンアンジオテンシン系の慢性肝疾患におけるクロストークと治療への応用
Project/Area Number |
20590792
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉治 仁志 Nara Medical University, 医学部, 講師 (40336855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 隆一 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30423908)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / 肝発癌 / アンジオテンシン / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
1. H20年度までの基礎的検討において明らかとなったACE阻害薬とビタミンKによる抑制効果について、ラジオ波焼灼療法などで局所制御し得たと判断した肝癌患者を対象として臨床的に検討を加えた。書面にて同意を得た後、VK+ACE-Iを連日投与し、累積肝癌再発率について対照群と比較検討した。さらに、VK+ACE-I投与による血管新生因子の変化につきProtein Arrayを用いて検討した。VK+ACE-I投与群25例の累積肝癌再発率は1年4%、2年20%、3年32%であり、対照群25例の1年24%、2年48%、3年68%に比べて低率で、併用投与は肝癌再発を有意に(p<0.01)抑制した。なお、2年までの検討で、各薬剤の単独投与では有意な再発抑制はみられなかった。投与1年後のProtein Arrayによる検討で、対照群では血清VEGFレベルが増加していたのに対し、VK+ACE-I投与群では著明に抑制されていた。上記結果をJ Hepatolに掲載した。 2. インスリン抵抗性と肝発癌の関連についてインスリン抵抗性を有するOLETFラットを用いて詳細な検討を加えた。さらにアンジオテンシンとインスリン抵抗性の関連に注目してインスリン抵抗性改善作用を有するとされている分枝鎖アミノ酸製剤とACE-Iの併用効果について検討し、著明な効果を認めた。これらの結果をJ Gastroenterolに報告した。 これらの本研究により血管新生制御に基づく肝癌・肝線維化医療の可能性について基礎的検討に基づいたtranslational researchの可能性が高まったと考える。
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Research Products
(4 results)