2010 Fiscal Year Annual Research Report
レニンアンジオテンシン系の慢性肝疾患におけるクロストークと治療への応用
Project/Area Number |
20590792
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉治 仁志 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40336855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 隆一 奈良県立医科大学, 医学部, 特任助教 (30423908)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / 肝発癌 / アンジオテンシン / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
H21年度までの研究で明らかとなったACE阻害薬(ACE-I)とビタミンKによる内科的治療後の肝癌再発抑制効果(J Hepatologyに報告)に加えて、インスリン抵抗性条件下における肝癌再発抑制効果を示す新たな組み合わせを見いだした。まずインスリン抵抗性と肝発癌の関連についてインスリン抵抗性を有するOLETFラットを用いて詳細な検討を加え、インスリン抵抗性改善作用を有するとされている分枝鎖アミノ酸製剤とACE-Iを併用投与することで各薬剤単剤投与よりも強い血管新生阻害を伴う著明な肝発癌抑制効果を示すことを確認し、J Gastroenterolに報告した。さらに効果予測に基づく効率的な治療を行うための治療効果予測マーカーについても血管新生因子のprotein arrayを用いて解析を加え、患者血清中の可溶性VEGFR-2がACE-IとVKによる治療効果を予測し得ることを確認し、Oncol Lettに報告した。また、NASHに対する新規治療法としてACE-Iと類似の臨床的効果を有するアンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)と新規経口鉄キレート薬(DSX)の肝線維化、肝発癌抑制効果を確認し、Am J Physiolに報告した。 これら本研究によりレニンアンジオテンシン系の慢性肝疾患におけるクロストークが明らかとなり、近い将来既存の薬剤を複数組み合わせて投与する個別化カクテル療法の可能性が確認できたと考える。
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Research Products
(4 results)