2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変腹水病態への腹腔マクロファージおよび反応性中皮細胞の関与
Project/Area Number |
20590793
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山崎 正晴 Nara Medical University, 医学部, 講師 (60360054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 康幸 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70145879)
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Keywords | 肝硬変 / 腹水 / フローサイトメトリー / 腹腔マクロファージ / 中皮細胞 |
Research Abstract |
肝硬変腹水病態と、その腹水中に認められる腹腔マクロファージおよび中皮細胞の出現様式との関連を解析するために、当該細胞を免疫標識し、フローサイトメトリーにより分離する方法について検討した。肝硬変患者から採取した腹水400mlの穿刺排液を直ちに遠心し、沈渣を回収した。回収した細胞成分をBSA-PBSで洗浄後、調整検体とし、標識抗体としてFITC標識抗サイトケラチン抗体、PE標識抗CD14抗体およびPreCP標識抗CD45抗体を用いフローサイトメトリーを施行した。その結果、中皮細胞の特徴であるサイトケラチン強陽性細胞はCD45強陽性細胞およびCD14強陽性細胞とそれぞれ独立した分布を示し、本法における標識抗体の組み合わせを用いて、中皮細胞がマクロファージ、顆粒球やリンパ球と異なる分布を示す独立した細胞集団であることが示唆された。ただし、フローサイトメトリーでカウントされた全細胞数に対するサイトケラチン陽性細胞の割合(陽性率)は0.02〜0.76%に過ぎず、文献にて報告されている腹膜透析排液における陽性率(6.75%)に比しても低く、肝硬変腹水検体から中皮細胞をフローサイトメトリーを用いて、さらなる解析を行うことは困難であることが予想される。一方、CD14+/CD45+を示すマクロファージも本法において独立した分布を示す細胞群として捉えられ、その陽性率も1.17〜24.45%を示した。今後、マクロファージのソーティングを含めたフローサイトメトリーによる追加解析と従来からのマクロファージ分離・培養法によって得られる知見とを比較検討し、本研究において肝硬変腹水の病態と腹水中のマクロファージとの関連の解析を展開する予定である。
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Research Products
(3 results)