2010 Fiscal Year Annual Research Report
重症肝疾患におけるADAMTS13の動態解析と制御機構の解明
Project/Area Number |
20590794
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
植村 正人 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90151836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60316081)
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
藤村 吉博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80118033)
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Keywords | ADAMTS13 / 微小循環障害 / 肝星細胞 / 多臓器不全 / 肝硬変 / 劇症肝炎 / アルコール性肝炎 / インヒビター |
Research Abstract |
ADAMTS13は主に肝星干細胞で産生されるメタロプロテアーゼでり、超高分子量von Willebrand factor(VWF)マルチマー(UL-VWFM)を分解する。本酵素が低下すると、UL-VWFMが切断されず、血小板とUL-VWFMが結合する結果、血小板血栓形成傾向となり、諸臓器の微小循環障害が惹起される。 研究代表者は,ADAMTS13活性の著減,基質であるVWF抗原の著増という酵素・基質の不均衡が,肝硬変末期,劇症肝炎,重症アルコール性肝炎に伴う多臓器不全,造血幹細胞移植後のveno-occlusive diseases,生体肝移植後の虚血再還流障害と密に関連することを報告してきた(Int J Hematol. 2010)。肝硬変末期ではADAMTS13に対するIgG抗体を証明し,ADAMTS13活性著減(<3%)、IgG inhibitor陽性末期肝硬変は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)類似状態あるいは"subclinical TTP"という疾患概念を提唱した(Int J Hematol. 2010, Thromb Haemost, 2008)。そして、ADAMTS13活性中等度~高度低下例(<25%)の予後は著しく不良であり、本酵素活性が予後の指標になることを報告し、末期肝硬変における新鮮凍結血漿あるいはrecombinant ADAMTS13投与の有用性を提唱した(Int J Hepatol, 2011, in press)。 一方、ADAMTS13活性中等度~軽度低下(3%~50%)例では、ADAMTS13に対するIgG抗体を検出し得ず、抗体非依存性のADAMTS13低下機序が想定された。我々は、肝硬変、劇症肝炎、アルコール性肝炎において血中endotoxin(Et)ならびに炎症性サイトカインが高い程、血漿ADAMTS13活性が低値を示すことを明らかにした(Alcohol Clin Exp Res, 2010)。さらに、好中球エラスターゼ(PMNL)が、劇症肝炎、アルコール性肝炎で高値を示し、PMNLが高い程、血漿ADAMTS13が低値を示すことを報告している。我々は既に、PMNLがADAMTS13を分断する部位を同定している(J Biochem. 2010)が、ADAMTS13活性低下機序としてEt,炎症性サイトカインと共にADAMTS13の存在様式もさらに検討していく必要がある。現在、分離肝星細胞を用いて、Et、サイトカイン、PMNLのADAMTS13産生に及ぼす影響を検討中である。また、急性肝不全モデルを作成し、12-24時間に広範な出血性肝壊死、血小板低下、ADAMTS13活性著減、UL-VWFM出現と共に、広範囲にVWF陽性病巣を確認し、ADAMTS13の発現を検討中である。
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Research Products
(14 results)