2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝炎病態における、肝インスリン抵抗性・酸化ストレスparadoxの解明
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20590796
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
冨田 謙吾 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (50317129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 孝彦 財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (40301791)
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Keywords | 酸化ストレス / インスリン抵抗性 / 脂肪肝炎 / 急性肝障害 / 肝細胞癌 / 肝再生 |
Research Abstract |
昨年度までに、インスリン受容体遺伝子ヘテロ改変マウス、肝臓特異的SOD2欠損マウス、およびその二重変異体に対して、メチオニン・コリン欠損食を、各群が同一カロリーを摂取するよう12週間施行し、NASHモデルを作成した。同様に高脂肪食を各群が同一カロリーを摂取するよう24週間施行し、NASHモデルを作成した。その後、各群のマウスの肝臓、内臓脂肪、皮下脂肪、骨格筋、血清を採取し、脂肪肝・肝障害・肝臓線維化の差異を、組織学的・血清学的に評価検討した。平成22年度においては、各NASHモデルマウスより、肝臓線維化を規定する細胞である肝星細胞を分離し、インスリン受容体遺伝子変異が、直接的に肝星細胞に与える影響に関して、in vitroでの詳細な解析を施行・検討中である。また、上記遺伝子変異マウスに対して、Diethylnitrosamine 6週間投与、またはコリン欠損食+ethionine 9カ月投与による、肝臓癌モデルを作成し、腫瘍形成における各マウス間の差異を比較検討するとともにapoptosis、細胞増殖能に関わる各種マーカーを組織学的・血清学的、タンパク・RNAレベルでの評価検討を施行した。同様に、LPS+GalN投与を施行し、急性肝障害の病態に及ぼす、各遺伝子型の影響を比較検討した。さらに、部分肝切除実験を行い、残存肝の肝再生能、肝障害の程度を、組織学的・血清学的に、経時的な比較検討を行った。 これらの検討は現在も継続して施行中であるが、脂肪肝炎・急性肝炎発症機序・肝癌発症機序・肝臓再生における、肝臓におけるインスリン抵抗性と、抗酸化ストレス因子との相互作用、およびその各々の病態に果たす役割が明らかとなりつつある。さらに、そして、本検討により、肝におけるインスリン抵抗性と酸化ストレス状態の双方を配慮した新たな治療法の開発が可能となる。
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