2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスキナーゼp38MAPKを介した抗癌剤耐性機構の解析と癌治療への応用
Project/Area Number |
20590801
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
丹野 誠志 Asahikawa Medical College, 医学部, 准教授 (30333686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Keywords | 消化器癌 / 膵癌 / p38MAPK / 抗癌剤 / ゲムシタビン / 抗癌剤耐性 / アポトーシス / EGFレセプター |
Research Abstract |
ストレスキナーゼp38MAPKは種々の細胞外ストレスによって活性化され、細胞生存やアポトーシスに関わるシグナル経路を細胞依存性に制御する。申請者は、消化器癌の中で最も難治癌で予後不良の膵癌と、その膵癌に対して唯一有効性の証明されている抗癌剤ゲムシタビン(GEM)に注目し、p38MAPKがGEMによって強く活性化され、膵癌細胞の細胞死誘導に重要な役割を担うことを報告してきた。膵癌は抗癌剤に低感受性で容易に耐性を獲得することが臨床的に知られており、申請者はこのような膵癌の抗癌剤抵抗性に関わるメカニズムとして、ストレス応答シグナル伝達経路が重要な役割を担うのではないかと推測している。申請者はGEM耐性誘導株を膵癌細胞で作成し、親株に比べてp38MAPK活性の低下が見られること、非チロシン型キナーゼであるSrc活性の亢進すること、さらに膵癌での高発現が知られているEGF受容体やIGF-I受容体が活性化することを新たに見いだしている。加えて、ヒト膵癌組織および抗癌剤抵抗性癌組織を用いて、これらストレス応答シグナルのリン酸化レベル、タンパク発現レベルを解析し、抗癌剤抵抗性に関与するシグナル分子の同定を行っている。これらの研究結果によって、抗癌剤の治療効果の増強や耐性化の回避、分子標的薬などの新規薬剤開発にも今後役立つものと考えられる。
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