2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊地知 秀明 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (70463841)
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Keywords | 膵癌 / マウスモデル / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
我々が既に樹立した膵臓上皮特異的変異型Kras遺伝子発現+TGF-beta II型受容体ノックアウトモデル(Ptflacre/+;LSL-KrasGi2D/+;Tgfbr2flox/flox)では、ヒト膵癌の組織像をよく近似する膵癌が発癌する。しかし、これを含めた現行の膵発癌マウスモデルは、全膵臓上皮で遺伝子改変が生じるため、膵癌の起源細胞はまだ証明されていない。最近、Nestin-creを用いた変異型Kras発現モデルで前癌病変PanINが生じることが報告されたが、浸潤癌は得られていない。そこで本研究では、Nestin-creERにより成熟期膵臓に変異型Kras発現とTGF-beta II型受容体ノックアウトを生じるマウスを作成し、成熟期膵臓のNestin陽性細胞が膵痛の起源細胞であることの証明及び発癌機序を解明することを目的としている。 目的の遺伝子型はNestin-creER; LSL-KraseG12D/+; Tgfbr2flox/floxであるが、H20年度はその前段階の系統を得ることに時間を費やした。Nestin-creERマウスは京都大学より凍結胚として供与され、現在、熊本大学生命資源研究支援センターにて個体作出された段階である。H21年度はこれとLSL-KrasGi2D/+; Tgfbr2flox/floxマウスとの交配を重ね、Nestin-creER; LSL-KrasG12D/+; Tgfbr2iflox/floxを得、タモキシフエン投与にて成熟期から遺伝子改変を生じる系にて表現型の解析を行う。 H20年度は、Ptflacre/+; LSL-KrasG12D/+; Tgfbr2flox/floxをクリーン化後、所属機関の動物実験施設に導入し、膵痛マウスが安定して得られる環境を整えた。その後、このモデルで早期発癌過程の観察を行い、臨床での多段階発癌同様に前癌病変PanlNが週令と共にStageが進行し、生後5週頃に進行癌部分が出現することを確認した。H21年度は、これとNestin-creER;LSL-KrasC12D/+; Tgfbr2flox/floxで見られる発癌過程との詳細な比較検討を行い、腰痛の起源細胞の絞り込みと発癌機序の解析を行っていく。
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