2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590830
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 助教 (10389570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
畠山 金太 宮崎大学, 医学部, 講師 (60325735)
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
鬼塚 敏男 宮崎大学, 医学部, 教授 (60108595)
|
Keywords | 外膜 / 炎症 / 細胞外基質 / サイトカイン / ケモカイン / マクロファージ / T-リンパ球 / マスト細胞 |
Research Abstract |
腹部大動脈瘤は動脈硬化を基盤として60歳以上の高齢者に発症する。これまでの研究より大動脈の外膜の炎症機転が動脈瘤の形成機転に関与する可能性が示唆される。本年度の研究では、動脈硬化モデルマウスを使用し、経時的に大動脈を病理組織学的に評価することにより、動脈硬化発症・進展機転における外膜の役割について検討した。アポリポプロテインE遺伝子を欠損されたマウス(Apo E KO)雄マウスを通常食で飼い、16、32、52週齢で大動脈を摘出し、大動脈弓部、下行大動脈、腹部大動脈に分割し病理組織学的に評価した。加齢とともに大動脈弓部と腹部大動脈では血管内膜側にプラーク形成を認めた。一方、下行大動脈ではプラーク形成は乏しかった。また、加齢ととも血管壁内のエラスチン含量は低下する傾向がみられ、特に52週齢Apo E KOマウスの腹部大動脈壁で著しかった。さらに血管外膜側における炎症細胞数を特異的抗体で染色後に評価した。いずれの部位も加齢とともにマクロファージ、T-リンパ球、マスト細胞ともに増加する傾向が観察されたが、腹部大動脈外膜におけるマクロファージ、T-リンパ球の浸潤が著しかった。これらの浸潤の程度はプラーク面積と正の相関関係にあり、一方、エラスチン含量とは負の相関だった。各部位血管壁における炎症性サイトカイン・ケモカインをエライザ法で測定したところ、インターロイキン-6は加齢ともに増加したが、インターロイキン-10は減少、特に腹部大動脈で減少が顕著だった。一方、白血球やリンパ球の動員に関与するとされるケモカインの一種であるRANTESは腹部大動脈で増加し、その多くは外膜の炎症細胞由来だった。以上から、Apo E KOマウス大動脈の動脈硬化の発症・進展は年齢依存的に、さらに場所によって異なった様相を呈しており、特に腹部大動脈外膜の炎症は血管リモデリングに関与している可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)