2008 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈プラーク不安定化における単球及び血管内皮前駆細胞の関与と治療法の確立
Project/Area Number |
20590835
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
今西 敏雄 Wakayama Medical University, 医学部, 准教授 (00285389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財田 滋穂 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10405417)
赤阪 隆史 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70322584)
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Keywords | 冠動脈プラーク / 急性冠症候群 / 単球 / 血管内皮前駆細胞 / OCT |
Research Abstract |
【目的】最近の研究により末梢血単球は単一ではなく、多様性を有することが明らかにされた。平成20年度の:研究において、末梢血単球のサブセット(CD14^<high>CD16^-CCR2^+,CD14^<low>CD16^+CX3CR1^+)は、急性冠症候群(ACS)の病態形成、特に冠動脈プラーク破裂にどのように関与するかを検討した。【方法および結果】急性心筋梗塞(AMI),不安定狭心症(uAP)、安定狭心症、健常人の4群を対象とした。AMI患者において、CD14^<high>CD16^-CCR2^+の割合は他の3群に比し、有意に高値であった。一方、uAP患者では、単球サブセットの分布に多様性(CD14^<high>CD16^-CCR2^+優位型とCD14^<low>CD16^+CX3CR1^+優位型の2タイプ)を認めた。この多様性の原因を解明するため、uAP患者46名を対象に、単球サブセットの多様性と冠動脈プラーク性状との関連をみた。冠動脈プラークの性状評極には、optical coherence tomography (OCT)を用いた。プラーク破裂群と非破裂群に分類したところ、プラーク破裂群は27名(59%)、非破裂群は19名(41%)にみられた。冠動脈プラーク破裂のバイオマーカーとして有用であることが証明されている高感度CRPとの関連をみた結果、プラーク破裂群は非破裂群に比し、有意に高値であった。単球サブセットとの関連をみた結果、プラーク破裂群は非破裂群に比し、有意にCD14^<low>CD16^+CX3CR1^+単球数が高値であった。一方CD14^<high>CD16^-CCR2^+単球数はプラーク破裂の有無と有意な関連を認めなかった。また、CX3CR1ケモカインのレセプターであるfractalkineに関して、その血中濃度を比較したところ、プラーク破裂群は非破裂群に比し、有意に高値であった。【結論】末梢血単球の質的差異は、ACSの病態に関与している可能性が示唆された。以上の研究成果の一部はJ Am Coll Cardiologyに投稿し、受理された(in press)。
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