2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20590851
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
安部 治彦 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 寄附講座教授 (70231967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 律子 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20449945)
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Keywords | 神経反射性失神 / 状況失神 / 排尿失神 / 排便失神 / アルコール飲酒 / head-up tilt検査 |
Research Abstract |
本年度は主に状況失神の病態生理、臨床的特徴、年齢との関係、発症誘因等を中心に研究を行った。 研究目的:本年度は状況失神の中でも最も発生頻度の高い排尿失神(micturition syncope)と排便失神(defecation syncope)に着いて研究した。 対象・方法:排尿時あるいは排便時に発生する状況失神患者57名(排尿失神患者37名、排便失神患者20名)を対象に、その臨床的特徴・発症誘因・年齢との関係等の臨床的背景について検討した。 結果:1)排尿失神:37名の排尿失神患者を対象に調査を行った。平均年齢52+/-17歳で男性に多かった(70%)。50歳以下の若年者と50歳以上の高齢者では、明らかに発症誘因と発症時間が異なっていた。若年者の排尿失神の多くがアルコール摂取が誘因となり、夜間早朝での発症が有意に多かったのに対し、高齢者の排尿失禁はアルコールとの関与はほとんどなく、発症時間も深夜に多く発症していることが判明した(Sumiyoshi M, Abe H, et al.Circ J 73 : 1651-4, 2009)。2)排便失神:排便失神患者20名の検討を行った。排便失神は高齢(平均年齢63+/-15歳)で女性に多く発症していた(60%)。排尿失神と異なり、排便失神は一日中いずれの時間帯にも発症していた。誘因として、アルコール摂取の関与は少なく(10%)、消化器症状に伴う(55%)ことが有意に多かった(Komatsu K, et al.Circ J 74 : 307-311, 2010)。いずれの失神に対してもHead-up tilt検査の陽性率は低く、差を認めなかった。 結論:排尿失神と排便失神の臨床的背景は異なることを明らかにした。排便失神は高齢女性に排尿失神は中高年男性に多く、排尿失神ではアルコール飲酒が、排便失神では消化器症状が失神発作の誘因となっていることを明らかにした。
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Research Products
(57 results)