2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590852
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬場 彰泰 北里大学, 北里研究所病院, 研究員 (60296572)
|
Keywords | 拡張型心筋症 / 免疫吸着療法 / 心筋自己抗体 |
Research Abstract |
2007年1月から2008年12月までの間に、計18例に対して免疫吸着療法が開始された。しかし、この第1クールのみで心抑制性抗体が陰転化したのは7例のみ(治療完了群)で、他11例(治療途上群)では治療3ヶ月後に左室駆出率は不変であった。治療途上群11例中2例で再治療同意を得ることができ、うち1例(計2クール実施:3回+5回)は再上昇した心抑制性抗体が陰転化し治療完了群となった。2010年12月末まで(平均35ヶ月)までの心イベントは、治療完了群(n=8)で心不全入院1例、心臓突然死1例を、治療途上群(n=10)で心不全入院6例、心不全死亡3例、心臓突然死1例を認めた。治療完了群では少なくとも左室駆出率が全例で5%以上改善していることから治療奏功群と判断され、うち2例では治療開始2年後の左室駆出率は50%以上となり内服治療薬も減少(1例はβ遮断薬のみ)できた。さらに左室容積が減少するreverse remodelingも、免疫吸着療法実施中で体重不変の期間でも観察されたことから急性治療効果が確認できた。治療途上群でも全例で治療後3ヵ月間においては血漿BNP値が治療前より減少し、自覚症状は軽快した。再治療を実施した他1例(治療前の心抑制性抗体陰性)は、第1クールで計3回、10か月後の第2クールで計3回を実施するも、ともに左室駆出率改善は3ヶ月後に5%未満と一過性効果にすぎなかった。しかしながら自覚症状と血漿BNP値は以後1年間安定した。症状がもとのレベルまで悪化した1年後に第3クールを計5回実施したところ、ふたたび自覚症状、BNP値は改善し現在に至っている。自己抗体リバウンド現象は本疾患でも存在することから、3ヶ月ごとに5回/クールずつの治療を、臨床指標(左室駆出率、BNP値など)が改善するまで実施する意義があると想定された。
|