2008 Fiscal Year Annual Research Report
特発性拡張型心筋症の新しい治療法-迷走神経電気刺激法の開発
Project/Area Number |
20590853
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鄭 燦 Kochi University, 教育研究部医療学系, 助教 (50443495)
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Keywords | 心筋症 / 迷走神経 / 電気刺激 |
Research Abstract |
特発性心筋症は原因不明の心機能障害を伴う心筋疾患と定義され、主な治療の標的は心筋組織炎症の抑制と心不全の悪循環の防止であり、心不全に対する対症療法が主体となる。現在心不全の対症療法として薬物療法があるが、予後改善効果が十分ではない。特発性心筋症の病態では免疫・炎症反応の調節系と循環調節系に重要な役割を果たす迷走神経活動が低下していることに着目して、本研究では直接迷走神経を電気刺激することによって、免疫・炎症反応を抑制させ、同時に破綻した自律神経系のバランスを是正させることで、心筋症ラットの心臓リモデリングを抑制し、心機能と長期生存率の改善を図ることを目的とする。さらに、炎症因子や神経液性因子の定性定量分析から、この新しい治療方法の詳細な機序を解明することで、心筋症の新しい治療法としての迷走神経の電気刺激治療法の確立と臨床展開を目的とする。平成20年度には、ラットの自己免疫心筋症モデル確立し、迷走神経の慢性電気刺激による心筋症ラットの心臓リモデリングや心機能改善に及ぼす影響を検討する予定でした。自己免疫心筋症については、豚の心臓ミオシンを通常の生化学方法で純化し、フロイントと完全アジュバンと乳化して免疫抗原とする。8週齢の雄Lewisラットを用いて、麻酔下で、足裏皮下組織に注射し、1週間後に追加免疫を行った。ラットの心エコ検査を毎週1回行い、心機能変化を追跡した。抗原を接種した部位には激しい炎症が発生し、3週目は心機能低下(左心駆出率が15〜30%減)を確認した。しかし、炎症の治癒伴い、心機能も回復した。更に、6週目の病理組織検査では心筋炎特徴的な繊維の増殖が確認出来ていない。迷走神経刺激方法に関しては、長期刺激に適応した刺激電極の制作と刺激装置の設置埋め込み方法等確立した。今後の研究は抗原の純化と免疫方法等を再検討し、自己免疫心筋症モデル確立したうえで迷走神経刺激効果を検討する。
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