2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける運動能力低下の分子機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
20590854
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
絹川 真太郎 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
古本 智夫 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10399925)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 運動能力 / 酸化ストレス / ミトコンドリア機能 / 小動物用トレッドミル |
Research Abstract |
マウスに8週間の高脂肪食を投与することによりメタボリックシンドロームモデルを作成した。このマウスは正常食を与えたマウスに比し、体重の増加、内臓脂肪重量の増加、空腹時血糖およびインスリンの増加を認めた。さらに、糖負荷試験を行い、耐糖能障害があることを確認した。次に小動物用トレッドミルを用いて、メタボリックシンドロームマウスおよび正常マウスの運動能力測定および呼気ガス分析を行った。いずれのマウスも疲労するまで運動することが可能であり、最大酸素摂取量を測定することができた。メタボリックシンドロームマウスでは正常マウスと比較して、疲労までの仕事量が低下していた。この時、最大酸素摂取量の低下を伴っていた。同様に最大二酸化炭素産生量も低下しており、呼吸交換比は変化がなかった。さらに、酸素電極を用いて摘出骨格筋ミトコンドリアの酸素消費を観察した。トレッドミル運動における主要な作動筋である下肢骨格筋を取り出し、ミトコンドリアを単離した。メタボリックシンドロームマウスのミトコンドリアでNADHを基質としたADP依存性酸素消費速度(State3)が低下していたが、ADP非依存性酸素消費速度(State4)は変化がなかった。この結果と一致して、ミトコンドリア電子伝達系複合体1およびIIIの活性が低下していた。また、骨格筋重量は変化がなく、骨格筋組織学的検討では骨格筋細胞や間質の形態に明らかな変化を認めなかった。また、ルシジェニン化学発光法を用いて、心筋梗塞後マウスの下肢骨格筋で酸化ストレスが増加していることを確認した。 メタボリックシンドロームマウスの運動能力低下および骨格筋ミトコンドリア障害に酸化ストレスが関与していると考えられた。
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Research Products
(4 results)