2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける運動能力低下の分子機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
20590854
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
絹川 真太郎 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (60399871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
古本 智夫 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10399925)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 運動能力 / 酸化ストレス / 骨格筋 / ミトコンドリア機能 / 小動物用トレッドミル |
Research Abstract |
8週間、高脂肪食を摂取したマウスのメタボリックシンドロームモデルは正常食を摂取したマウスと比較して、体重増加、内臓脂肪重量増加、空腹時血糖およびインスリン増加があった。糖負荷試験では、耐糖能障害があった。次に小動物用トレッドミルを用いて、メタボリックシンドロームマウスおよび正常マウスの運動能力測定および呼気ガス分析を行った。メタボリックシンドロームマウスでは正常マウスと比較して、運動能力が低下していた。この時、最大酸素摂取量の低下を伴っていた。メタボリックシンドロームマウスの運動能力低下にNAD(P)H oxidase由来の酸化ストレスが重要な役割を果たしているかどうかを明らかにするために、NAD(P)H oxidaseの抑制剤であるアポサイニンをメタボリックシンドロームマウスに投与した。アポサイニンは体重や耐糖能に影響しなかったが、メタボリックシンドロームマウスの運動能力を改善した。それぞれのマウスから下肢骨格筋を取り出し、ミトコンドリアを単離した。メタボリックシンドロームマウスのミトコンドリアでADP依存性酸素消費速度(State3)、電子伝達系複合体IおよびIIIの活性が低下していたが、アポサイニンはこれらを改善した。骨格筋重量は変化がなく、骨格筋組織学的検討では骨格筋細胞や間質の形態に明らかな変化を認めなかった。メタボリックシンドロームマウスの下肢骨格筋で酸化ストレスが増加し、アポサイニンは酸化ストレスをほぼ完全に抑制した。 メタボリックシンドロームマウスの運動能力低下および骨格筋ミトコンドリア障害にNAD(P)H oxidase由来の酸化ストレスが関与していると考えられた。骨格筋酸化ストレスの抑制はメタボリックシンドロームにおける運動能力の改善、結果としてメタボリックシンドロームの改善に有効な治療法となることが期待される。
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Research Products
(5 results)