2009 Fiscal Year Annual Research Report
冠攣縮性狭心症の成因に関する臨床分子生物学的研究:P122蛋白の役割
Project/Area Number |
20590856
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
奥村 謙 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (20185549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長内 智宏 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00169278)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 冠攣縮 / P122蛋白 / phospholipase C |
Research Abstract |
冠攣縮性狭心症は冠動脈平滑筋のbasal toneの亢進と収縮刺激に対する過剰反応(攣縮)、およびこれによる心筋虚血を特徴とするが、冠動脈平滑筋過収縮のメカニズムはいまだ明らかでない。本研究の目的は、冠攣縮の成因をとくにPhospholipase C(PLC)活性に焦点を当て、分子レベルで解明することであり、このために臨床例より得られた試料を対象とし、PLCを中心とする収縮機構に関わる細胞内情報伝達系について分子生物学的に検討した。これまでに以下を明らかにした。 1.冠攣縮性狭心症患者から得られた培養皮膚線維芽細胞の膜分画PLC活性は健常例に比して亢進している。 2.PLC活性と冠動脈のbasal toneおよび収縮刺激に対する反応性は正の相関を示す。 3.PLC活性亢進の主体はPLC-δ1である。 4.PLC-δ1活性に促進的に作用するP122蛋白発現は健常例に比して冠攣縮性狭心症患者で著明に亢進している。P122 mRNA発現も同様に冠攣縮性狭心症患者で亢進している。 5.P122の転写開始点を5'-Race法で決定し、P122のプロモーター領域とエクソン1の塩基解析を行うと、冠攣縮性狭心症患者で8か所に変異が存在し、-228G/A変異と-1466C/T変異で転写活性の亢進が認められる。 6.PLC-δ1とムスカリンM1受容体遺伝子を強制発現したHEK-293細胞にP122をtransfection後、アセチルコリン刺激に対する細胞内遊離カルシウムイオンの反応性を検討すると、P122過剰発現細胞でカルシウムイオン濃度の増加が認められる。 以上より、PLC-δ1活性亢進の機序としてP122蛋白発現亢進が考えられ、冠動脈平滑筋過収縮性を説明しうる分子機序が明らかとなった。
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Research Products
(16 results)