2008 Fiscal Year Annual Research Report
心不全発症における心臓肥満細胞由来のレニン・ヒスタミンの果たす役割についての解析
Project/Area Number |
20590857
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡 亨 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特任研究員 (10332678)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 心不全 / 肥満細胞 |
Research Abstract |
肥満細胞は心臓においてもその存在が確認され、心疾患で増加し、レニンやヒスタミンの共通の供給源であることから、心臓病の病態と深く関係があることが示唆される。本研究の目的は、心不全の発症・進展過程での、肥満細胞とそれから放出されるレニンやヒスタミンの果たす役割について、遺伝的に肥満細胞が欠損したマウスやレニン・ヒスタミンの遺伝子改変マウス(レニン欠損マウス、ヒスタミン欠損マウス)を用いて明らかにし、レニンやヒスタミン、肥満細胞を標的とした新たな心不全治療戦略の基礎を確立することである。 本年度は、心不全発症における肥満細胞の活性化の役割について、マウス圧負荷モデルを用いて検討を行った。野性型マウスの横行大動脈縮窄術施行により、術後2週で心肥大が生じるが、さらに術後4週では心収縮の低下や心内腔の拡大など心不全が発症する。肥満細胞安定化剤であるクロモリンを投与し、術後4週目において心機能を心エコー法で評価したところ、クロモリン投与群において心機能低下が有意に抑制されていた。さらに、Masson trichrome染色で組織線維化を評価したところ、クロモリン投与群において心筋線維化が有意に抑制されていた。さらに、肥満細胞を欠損するW/Wvマウスでは、野性型マウスと比べて、術後4週目における心機能低下や心筋線維化が軽度であった。以上より、肥満細胞の活性化が、圧負荷による心不全発症に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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