2009 Fiscal Year Annual Research Report
心不全発症における心臓肥満細胞由来のレニン・ヒスタミンの果たす役割についての解析
Project/Area Number |
20590857
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡 亨 Chiba University, 大学院・医学研究院, 寄附講座教員 (10332678)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 心不全 / 肥満細胞 / 心房細動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心不全の発症・進展過程における肥満細胞の果たす役割について、遺伝的に肥満細胞が欠損したマウスや遺伝子改変マウスを用いて明らかにし、肥満細胞を標的とした新たな治療戦略の基礎を確立することである。心房細動は最も頻繁に見られる不整脈であるが、動悸などの自覚症状によってQOLを低下させるとともに、血行動態を悪化させ、心不全や脳梗塞の発症リスクを著しく増大させる。8週齢のオスC57RL/6Jマウスに対して横行大動脈縮窄術にまる圧負荷モデルを作成したところ、10日後の心房において心房線維化と肥満細胞浸潤が亢進し、ランゲンドルフ灌流下に電気的に心房刺激を行って誘発される心房細動の頻度と持続時間は著しく増加した。このような心房リモデリングと心房細動誘発性は、肥満細胞安定化剤クロモリンの投与、あるいは肥細胞欠損マウス(WBB6F1-W/W^v)からの骨髄移植により著しく抑制された。また、これらの肥満細胞を機能抑制あるいは欠損させた心房組織では血小板由来成長因子(PDGF-A)の発現が著しく減少していた。一方で、マウス骨髄由来肥満細胞はラット心臓線維芽細胞との共培養によりPDGE-Aの産生や放出を促進させた。さらに、共培養条件下において心臓線維芽細胞の増殖とコラーゲン遺伝子発現が促進されたが、これらはPDGFRα中和抗体の添加により阻害された。以上より、肥満細胞は圧負荷下により心房組織に浸潤し、線維形成性サイトカインであるPDGF-Aを放出し、心房リモデリング及び心房細動の発症を促進することが示唆された。肥満細胞-PDGF-A系は心房細動に対するアップストリーム治療の新たな標的となりうると考えられる。
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Research Products
(2 results)