2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアと核のクロストーク:イノシトール三燐酸受容体を介するシグナリング
Project/Area Number |
20590858
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
林 秀晴 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 教授 (50135258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30293632)
加藤 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80314029)
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Keywords | 細胞内Ca^<2+> / カルモジュリン / CaM依存性フロテインキナーゼII / ミトコンドリア膜電位 / ミトコンドリア膜透過性遷移孔 / 活性酸素種 / 筋小胞体 / 心不全 |
Research Abstract |
心筋細胞において、細胞内Ca^<2+>とカルモジュリン(CaM)およびCaM依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)は、細胞機能の調節に重要な役割を果たしている。ラットの心筋細胞をサポニンにより細胞膜除去処理した後に、ミトコンドリア膜電位(AΨ_m)はtetramethylrhodamine ethyl ester (TMRE)を、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(mPTP)開口の指標にcalceinを、活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)産生の指標に2'7'-dichlorofluorescin diacetate (DCF)を用いて、共焦点レーザー顕微鏡により測定した。〔結果〕(1)CaM投与により、40分後にAΨ_mは前値の53.4±3.7% (p<0.05)に低下し、AΨ_mはCaMの濃度依存性に低下した。CaMのAΨ_mに対する効果は、CaMおよびCaMKIIの阻害薬であるW-7とautocamtide 2-related inhibitory peptideにより抑制された。同様にmPTPの開口を示唆するcalceinの蛍光強度も73.5±1.9% (p<0.05)と低下し,この効果もAIPにより抑制された。さらにmPTPの阻害薬であるcyclosporin AはAΨ_mとcalceinの低下を抑制した。(2)CaM投与によりDCFの蛍光強度は前値の8.4倍(p<0.05)に速やかに上昇し、上昇はROSの消去剤であるTroloxにより抑制された。TroloxはAΨ_mとcalceinを低下のいずれも抑制した。(3)細胞内Ca^<2+>をBAPTAによりキレートとするとCaMのAΨ_mとmPTP、およびROS産生に対する効果は減弱した。またthapsigarginによりSRのCa^<2+>含有量を減少させると、CaMのAΨ_mとmPTPおよびROS産生に対する効果は減弱した。〔考察〕CaM/CaMKIIにより、ROSの産生を介してmPTPは開口し、AΨ_mは脱分極した。これらの効果は、筋小胞体から放出されるCa^<2+>の上昇により調節されていた。これらのシグナルは心不全の成立に関連しており、今後の心不全に対する新しい治療のターゲットとして期待される。
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Research Products
(4 results)