2009 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ接合リモデリングに伴う致死性不整脈の発生機序の解明と治療戦略の確立
Project/Area Number |
20590860
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本荘 晴朗 Nagoya University, 環境医学研究所, 准教授 (70262912)
|
Keywords | 不整脈 / ギャップ接合 / スパイラル・リエントリー / 光学マッピング / 興奮伝導 / 空間定数 / 拡散係数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ギャップ接合を介する心筋細胞間電気結合の変化が心室スパイラル・リエントリーのダイナミクスをどのような影響を及ぼすかを明らかにし、その制御による心室細動・頻拍の治療・予防技術を開発することである。本年度の研究では、活動電位光学マッピングを用いて、心室筋組織標本における心筋細胞間電気結合を評価する方法について検討した。 1.電気緊張電位の空間定数 心室筋心外膜面に設置した細い単極電極から閾値下陰極通電を行い、脱分極電気緊張電位の減衰から空間定数を求めた。ギャップ接合を介する細胞間電気結合を低下させるcarbenoxolone(30μM)作用下では空間定数が有意に短縮し、電気結合を増強するrotigaptide(0.1μM)作用下では空間定数が有意に延長することが確認された。 2.興奮波面の湾曲効果 湾曲した興奮波の局所伝導速度(CV)は波面の湾曲度(K)に依存して低下し、その低下の程度は興奮波の伝播方向に垂直方向の細胞間電気結合コンダクタンスに比例する(CV=CV_0-D・K ; CV_0は平面波の興奮伝導速度;Dは電気結合コンダクタンスの指標である拡散係数を示す)。従って、強く湾曲した興奮波の波面曲率と局所伝導速度との関係から電気結合コンダクタンスの指標である拡散係数を定量的に求めることができる。心室筋の一点に電気刺激を加えて楕円形に広がる興奮波を作成し、その長軸方向の局所伝導速度と波面の曲率を計測した。波面の曲率と局所伝導速度との間には負の直線関係が認められた。この直線の傾きが拡散係数を示す。Carbenoxoloneは拡散係数を有意に減少し、rotigaptideは拡散係数を有意に増加させた。更に、rotigaptideにより細胞間電気結合を増強させると、強く湾曲した興奮波の伝導が抑制されることが判明した。この効果は、スパイラル・リエントリーの旋回中心付近における興奮伝播に重大な影響を及ぼすと考えられる。
|
Research Products
(16 results)