2008 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経支配を有する「バイオペースメーカ」構築の試み
Project/Area Number |
20590861
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 鍾國 Nagoya University, 環境医学研究所, 准教授 (60303608)
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Keywords | 心筋再生 / バイオペースメーカ / 自律神経 / 不整脈 / 細胞移植 |
Research Abstract |
神経栄養因子による、心筋における交感神経軸索誘導の可能性を調べた。ラット新生仔の交感神経上頸神経節細胞と心室筋細胞を単離し、1mmの間隔で近接培養を行った。Nerve growth factor (NGF)、Glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF)などの神経栄養因子添加後5日目に、交感神経細胞の伸長、神経・心筋接合部の状態を免疫染色法、電子顕微鏡で観察した。また、局所における神経栄養因子の効果を調べるために、アデノウイルスを用いて、GDNFを強制発現させた心室筋細胞およびマウス人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来自己拍動細胞への、神経突起の伸長をタイムラプス顕微鏡で観察した。交感神経細胞と心筋細胞の近接培養系に、NGF(50ng/ml)またはGDNF(50ng/ml)を添加すると、神経栄養因子非添加群(CONT)と比較して、心筋細胞へ向かう交感神経細胞突起の伸長が明らかに促進した。電子顕微鏡による観察では、心筋細胞に接する神経細胞内に神経終末小胞が存在し、交感神経-心筋接合の形成が見られた。アデノウイルスを用いた実験では、交感神経細胞突起が、GDNFを強制発現させた心室筋細胞およびiPS細胞由来自己拍動細胞に向かって、選択的に伸長するのが観察された。神経栄養因子のGDNFは、交感神経軸索を心筋細胞に誘導する因子となり、移植再生心筋に対する交感神経支配の再構築の有効な手段になりうると考えられた。
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Research Products
(3 results)