2008 Fiscal Year Annual Research Report
二光子レーザー顕微鏡を用いた心筋虚血再潅流傷害の制御機構解明と心筋保護治療の確立
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20590862
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤尾 昌治 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (00362509)
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Keywords | 心筋梗塞 / ミトコンドリア / イメージング |
Research Abstract |
心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患は、日本を含む先進国における主要な死因のひとつであり、国民の健康施策上、克服すべき最も重要な課題のひとつである。心臓の虚血再灌流による細胞死のメカニズム解明や、それに基づく心筋保護効果を期待した治療戦略の確立は急務である。ミトコンドリアは、細胞の生死の決定に中心的な役割を果たしていることが近年の研究で明らかとなってきているが、研究代表者は、二光子共焦点レーザー顕微鏡(Two-photon Laser Scanning Microscopy:TPLSM)を用いて世界で初めて生きた心臓(灌流心)のミトコンドリアの可視化に成功し、心筋虚血再灌流の際のミトコンドリア傷害をリアルタイムに観察することができた。このミトコンドリア機能の急速な喪失は、ミトコンドリア透過遷移孔(PTポア)の開口を介して起きている可能性が高く、PTポアを治療の標的とした治療の可能性が注目を集めている。我々は、PTポアを選択的に抑制するために、PTポアの構成蛋白のひとつであるcyclophilin D(CypD)をRNA干渉を用いて阻害し、その保護効果を検討した。CypDを配列特異的に阻害するshort interfering RNA(siRNA)を発現する組換えアデノウィルスを作成し、これをラット心筋内注入して、TPLSMで観察した。siRNAを発現した心筋細胞は、著明に心筋虚血再灌流に対して耐性をもち、またその保護効果はsiRNA発現量と用量依存性が確認できた。この研究成果より、CypDの選択的な抑制が、心筋保護効果を得るための有用な標的であることが示され、新たな創薬のターゲットとなると期待される。
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Research Products
(4 results)