2010 Fiscal Year Annual Research Report
二光子レーザー顕微鏡を用いた心筋虚血再灌流傷害の制御機構解明と心筋保護治療の確立
Project/Area Number |
20590862
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤尾 昌治 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 主任研究員 (00362509)
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Keywords | 心筋梗塞 / ミトコンドリア / イメージング |
Research Abstract |
研究代表者は、灌流心における臓器レベルでのイメージングの実験系確立に取り組み、二光子共焦点レーザー顕微鏡(Two-photon Laser Scanning Microscopy : TPLSM)を用いて世界で初めて生きた心臓(灌流心)のミトコンドリアの可視化に成功し、虚血再灌流により心筋細胞のミトコンドリア機能が次々に失われていく様子をリアルタイムに撮影することに成功した[Matsumoto-Ida.Circulation.2006;114:1497]。こうしたミトコンドリア機能の急速な喪失は、ミトコンドリア透過遷移孔(PTポア)の開口を介して起きている可能性が高く、PTポアの開口を制御するとされる細胞の活性酸素やカルシウムレベルの関与が予想された。今年度は、ミトコンドリア傷害の進展と細胞内カルシウム、活性酸素レベルの時空間的伝播との関係の解明を目標とし、TPLSMの実験系を発展させて、灌流心においてミトコンドリア内膜電位と、細胞内カルシウム、活性酸素を蛍光色素で同時標識し、三者の関連を調べた。その結果、虚血の進行とともに、細胞内の活性酸素が徐々に蓄積するが、その蓄積速度は細胞によって大きく異なり、蓄積の早い細胞ほどミトコンドリア機能が失われやすいことが判明した。細胞内カルシウムは、活性酸素量と随伴して上昇するが、活性酸素がある閾値レベルを超えると、調節機能が破綻して大幅に上昇する現象がみられた。このように三者は密接に関連しながら細胞内で挙動し、細胞の生死を決定している様子が観察された(論文投稿準備中)。 また、我々は平行してin vitroの実験系で、ミトコンドリアマトリックスのカルシウム濃度を特異的に測定できる蛍光色素を開発し、細胞傷害のさいの動態を詳細に観察して、その成果を論文に発表した[Iguchi.Int.J.Cardiol.2011 Epub ahead of print]。
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Research Products
(3 results)