2010 Fiscal Year Annual Research Report
心不全進展におけるオートファジー制御機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
20590865
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 修 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90467580)
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Keywords | 心不全 / オートファジー |
Research Abstract |
オートファジーとは代表的細胞内分解系の一つであり、細胞内のタンパク質やミトコンドリアなどの細胞内構造を非選択的に分解し、細胞内構造物の再合成やエネルギー源として再利用する系である。我々はこれまで、心不全病態におけるオートファジーの亢進が心保護的機構であることを明らかにした。本研究はオートファジーを制御する分子機構を明らかにし、心不全の治療に応用することを目的とする。 本研究で心筋特異的Atg5ノックアウトマウスが経時的に心機能低下と心拡大を来たし、早期に心不全死に至ることを見いだした。すなわちオートファジーは老化に対しても臓器保護的であることが明らかとなった。電子顕微鏡による細胞内微細構造の検討により、心機能低下出現前の3ヶ月齢から既に異常ミトコンドリアが蓄積し、ミトコンドリア呼吸鎖機能低下、活性酸素種の蓄積、アポトーシス性心筋細胞死を呈していることを見いだした。加齢に伴い一般的にミトコンドリア機能は低下するが、オートファジーによる異常ミトコンドリアの除去が活性酸素種の発生源を隔離し、それに伴う心筋細胞死を抑制していることが示された。 更に本年度は、オートファジー分子機構の上流であるmTORの制御に関わる分子、Rhebの心筋特異的ノックアウトマウスを作成解析した。その結果、本ノックアウトマウスは生後10日で心重量の低下並びに心機能低下を呈し、心不全死を来すことが明らかとなった。Rhebがオートファジー制御による心不全治療の分子標的となり得る可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)