2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白脱アセチル化酵素SIRT1の活性制御機構解明と心不全治療への応用
Project/Area Number |
20590869
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
丹野 雅也 Sapporo Medical University, 医学部, 助教 (00398322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (90199951)
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
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Keywords | 心不全 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 細胞内局在 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
昨年度までにSIRT1による細胞死抑制効果にはSIRT1の核局在が必要であることを示した。そこで、SIRT1の核移行機構を明らかとするためにリン酸化の関与を検討した。各種のリン酸化酵素活性化薬が新生児ラット心筋細胞内での内因性SIRT1の細胞内局在に及ぼす影響を観察したところ、PI3K/Akt,活性化薬であるIGF-1がSIRT1の核移行を促進することを見いだした。さらにIGF-1存在下でSIRT1抗体によりSIRT1蛋白を免疫沈降し、リン酸化Ser抗体を用いてウェスタンブロッティングをしたところ、IGF-1がSIRT1のSerリン酸化を増強させることが示された。次にSIRT1のリン酸化部位を同定するためにEGFP標識した一連の欠失変異体と点変異体を作成し、IGF-1存在下、非存在下でその核局在の程度を評価した。517番目のSerが欠失した変異体、またはこれをAlaに置換した変異体では、ベースラインのSIRT1の核局在が減少するだけでは無く、IGF-1による核移行反応も減弱し、PI3K/AktによるSer517のリン酸化がSIRT1の核移行に一部寄与することが示された。次にPI3K/AktによるSIRT1の核移行機構がin vivoでも作動しているかを検討するため、不全心でのSIRT1の細胞内局在を検討した。遺伝的拡張型心筋症ハムスターやラット心筋梗塞後不全心では対照心と比較してSIRT1の核局在が有意に増加しており、心筋細胞死による心不全の進行を抑制する内因性の適応反応であることが示唆された。さらにPI3K/Aktの活性が減弱するとされる高血圧自然発症ラットでは梗塞後不全心でのSIRT1の核移行も減弱しており、PI3K/Aktがin vivoでもSIRT1の核移行を促進していることが支持された。
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Research Products
(1 results)