2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白脱アセチル化酵素SIRT1の活性制御機構解明と心不全治療への応用
Project/Area Number |
20590869
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
丹野 雅也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00398322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90199951)
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
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Keywords | 心不全 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 細胞内局在 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
昨年度までにSIRT1が酸化ストレスによる細胞死を抑制し、この効果にはSIRT1の核局在および脱アセチル酵素活性が必要であること、この核局在にはPI3K/AktによるSIRT1のリン酸化が必要であること、およびそのリン酸化部位がおそらくSer517であることを見いだした。さらに、心不全モデルとして拡張型心筋症のモデル動物であるTO-2ハムスターを用いSIRT1の活性化薬であるresveratrolを長期的に投与し対照群と比較したところ、心不全ハムスターの心筋重量/体重比の減少、心筋線維化抑制、心筋BNP mRNAの上昇抑制、左室駆出率の維持が得られ、最終的に生存率も有意に改善した。resveratrolを投与した群では心筋のMnSODの発現が亢進しており、心不全の予後改善効果に寄与している可能性が考えられた。さらに、SIRT1は転写因子FOXO3の脱アセチル化によりMnSODの発現亢進をもたらすこと、トリメチル化酵素SUV39を活性化しヒストンH3をトリメチル化させ心筋細胞肥大を抑制すること、この過程に蛋白アセチル化酵素p300の分解促が寄与することも見いだした。これらの結果の一部は論文にまとめ、日本循環器学会およびアメリカ心臓病学会で発表した。増加の一途をたどる心不全に対して、SIRT1を標的とした新しい治療戦略が将来的に臨床応用できる可能性が示唆され心不全治療に与えるインパクトは大きいものと考えられる。
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Research Products
(1 results)