2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物溶出性ステント留置血管の機能異常発現に関する分子機序の解明
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20590875
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安田 聡 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00431578)
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Keywords | 冠動脈ステント / Rho-kinase / 血管平滑筋 / 炎症 / 血栓 / カルシウム拮抗薬 / 血管反応性 |
Research Abstract |
【研究の目的】これまで我々は薬剤溶出性ステント(DES)による冠動脈過収縮反応の病態にRho-kinase(低分子量GTP結合蛋白質Rhoの標的蛋白質)経路が重要な役割を果たしていることが明らかした。更に臨床的に汎用されるカルシウム拮抗薬(CCBs)の効果について検討した。 【方法・結果】家畜ブタにパクリタキセル溶出性ステント(PES)と同様のプラットフォームを持つ金属ステント(BMS)を留置し4週後に血管反応性の評価を行った。CCBsとしてはニフェジピン(4mg/kg体重/日)をステント植え込み3日前より、血管反応性試験の1日前まで投与を行った。ニフェジピン非投与群では、セロトニン100μg/kg冠動脈内投与により、BMSと比較してPES留置周囲部分では血管過収縮がより顕著であった(PES -53±3vs.BMS -32±4%,n=12,P<0.01)。セロトニンによる血管過収縮は選択的Rho-kinase阻害薬hydroxyfasudil(100μg/kg/3min)の事前投与により完全に抑制された。PES留置血管ではステント周囲の微小血栓の形成、ならびに炎症性細胞の浸潤がBMSに比しより高率に認められ、かつ免疫組織学的検討ではPESストラッド周囲にRho-kinaseの発現が強く認められた。ニフェジピン投与群では、セロトニンによるステント留置部位の血管反応性は、PES留置血管、BMS留置血管ともに差異は認められなかった(PES -35±3vs.BMS -34±2%,n=4,P<0.01)。なおステント留置遠位部血管ではこのような血管反応性の異常は明らかではなかった。狭心症患者を対象とした臨床研究でも同様の反応が得られている。 【研究の目的】ニフェジピン併用によりDES留置血管の冠動脈過収縮反応は抑制されることが示された。ニフェジピンの血管保護作用機序としてRho-kinaseを介する可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)