2010 Fiscal Year Annual Research Report
NOTCH-FABP経路は心臓毛細血管内皮細胞の脂肪酸能動輸送を制御する
Project/Area Number |
20590877
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
磯 達也 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10400756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 正彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00215047)
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Keywords | 経内皮的脂肪酸輸送 / 筋型毛細血管内皮細胞 / FABP4 / EABP5 / Notchシグナル / 脂肪酸 / グルコース |
Research Abstract |
申請者らは、血管内皮細胞におけるNotchシグナルの標的因子候補として脂肪酸結合タンパク質(fatty acid binding protein)であるFABP4(aP2)とEABP5(mall)を同定した。FABP4とFABP5が同時に欠損するマウス(EABP4/5 DKOマウス)では、高脂肪食負荷によるメタボリックシンドローム様症候(肥満、インスリン抵抗性、糖尿病)が著しく減弱することが報告されたがそのメカニズムは不明であった。本研究ではFABP4/5が脂肪細胞以外では心臓・骨格筋・脂肪組織の毛細血管内皮細胞に強く発現していることを見出した。FABP4/5DKOマウスの抗メタボリックな表現系と筋型毛細血管内皮細胞に特異性の高い発現を認めることから、経内皮的脂肪酸輸送の概念に至った。この作業仮説をin vivoで裏付けるために、^<125>I-BMIPP(脂肪酸アナログ)と^<18>F-FDG(グルコースアナログ)を用いて各臓器における脂肪酸と糖の取り込みを評価した。DKOマウスの心臓ではBMIPP取り込みが約60%に減少し、相対してFDG取り込みが約20倍上昇するのを確認した。脂肪酸を主なエネルギー源とする赤筋では心筋と同様のBMIPPの取り込み減少とFDGの取り込み増加が認められたが、グルコースを主なエネルギー源とする白筋では著明な変化は認められなかった。脂肪組織ではBMIPP取り込みがDKOマウスで野生型の30%にまで減少したが、FDGの取り込みに変化は認められなかった。以上より、脂肪酸が循環血液中から実質組織間質に到達するのに毛細血管内皮細胞内を通過すること(経内皮的脂肪酸輸送)、毛細血管内皮を通過する際にFABP4とFABP5が必須の担体であること、脂肪酸輸送が障害されると代償的にグルコース代謝が亢進することが明らかとなった。
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