2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生における転写制御因子Idの役割に関する研究
Project/Area Number |
20590878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 功一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80398221)
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Keywords | 血管新生 / ライブイメージング / 転写因子 / Id / Notch |
Research Abstract |
血管新生過程の血管内皮細胞において、Helix-Loop-Helix転写因子Id1の発現は上昇する。最近の私達の研究において、血管新生過程におけるId1発現程度は、血管を形成する血管内皮細胞全てに一様でなく、様々なId1発現レベルの血管内皮細胞が混在しいていることが解ってきた.この特徴的なId1発現パターンがいかに血管形態形成に関わってくるかを検討する目的で、in vitro血管新生モデルにおける動的血管新生評価・解析系の確立を試みた。マウス大動脈片のタイプ1コラーゲン内3次元培養系において、蛍光色素により核染色を行った後に、レーザー共焦点顕微鏡を用いて血管新生過程を4次元的に観察し、血管形態形成時の血管内皮細胞の協調的細胞現象、特に細胞運動を可視化する系を確立した。この解析により、血管伸長時における血管内皮細胞は常にその相対的細胞位置を変化させ、特に血管伸長を先導する先端細胞は常に入れ替わることで、血管が伸長していくことを見出した。また、これらのin vitro血管新生モデルにて観察された細胞現象の少なくとも一部は、マウスの網膜血管新生においても同様に観察された。さらに、イメージングデータを個々の細胞毎に追跡してデジタル化し、血管新生過程での特徴的な細胞動態を定量的に評価できるin silico解析系を構築した。現在同系を用いて、Id1発現の動的変化が血管新生において機能的にどのような意義を持つか、協調的細胞運動の観点から定量的に検討している。今回明らかとした血管新生過程における血管内皮細胞の集合運動現象は、これまで予想されてきた血管伸長時の血管内皮細胞の動きとはかなり異なっており、今後血管形成機構解明への新しい視点となると期待される。
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Research Products
(6 results)