2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化病変形成における細胞性免疫の関与とその制御による新規治療法の開発
Project/Area Number |
20590880
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯部 光章 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 教授 (80176263)
|
Keywords | ICAM-1 / 遺伝子導入 / 超音波 / マイクロバブル / 血管障害 / 再狭窄 / 接着分子 / 炎症抑制 |
Research Abstract |
今年度はICAM-1分子の接着阻害とTregを中心に研究を進めた。ICAM-1のmRNA発現を抑制するsiRNAを作成した。ICAM-1siRNAの生物学的活性を確認するために混合リンパ球培養(MLR)を行った。ICAM-1siRNAは導入濃度依存性にMRLでの細胞増殖を抑制した。動物実験モデルはB6マウス大腿動脈のワイヤー障害による血管障害である。まずFITC-siRNAとGFP-siRNAを作成した。遺伝子の導入には超音波マイクロバブルを用いた。DOTAPとマイクロバブル(Optison)にsiRNA(ICAM-1またはGFP)を混和した。血管ワイヤー障害作成直後に、この混和物を血管内に注入した。さらに血管外から超音波を放射した(1MHz、0.5W/cm^2、20秒)。FITC-siRNAを注入したマウスは8時間後に、GFP-siRNAを注入したマウスは7日後に血管を採取した。いずれもsiRNA、マイクロバブル、超音波の存在下で血管壁に色素の顕著な集積を認め、遺伝子が導入されていることが証明された。いずれかの要素が含まれていないコントロールでの色素の発現は認められなかった。このことから、超音波とマイクロバブルを用いた非ウイルスでの血管壁への遺伝子導入が可能であることが示された。同じ方法を用いてsiRNA ICAM-1を血管障害後の大腿動脈に導入した。28日目に血管を採取してその効果を確認したところ、コントロール群に比して内膜肥厚が有意に抑制されていた。免疫組織学的にはT細胞、マクロファージ、ICAM-1陽性細胞、VCAM-1陽性細胞などの炎症細胞の浸潤がsiRNA ICAM-1導入群の障害血管で抑制されていた。以上の結果からウイルスを用いない接着分子阻害の遺伝子導入により血管障害後の内膜肥厚を抑制することが示された。他臓器、他疾患の炎症抑制にも応用可能な技術として今後の発展が期待される。
|
Research Products
(9 results)