2010 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化病変形成における細胞性免疫の関与とその制御による新規治療法の開発
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20590880
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯部 光章 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80176263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特別准教授 (90313858)
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Keywords | 移植心冠動脈硬化 / アディポネクチン / アディポサイトカイン / 内膜肥厚 / 動脈硬化 / 心臓移植 / 炎症 |
Research Abstract |
アディポネクチンは脂肪組織から特異的に分泌されるタンパクであり、抗炎症作用、および抗動脈硬化作用を持つことが知られている。今年度は我々はアディポネクチンの心移植モデルにおける役割を検討した。方法:アディポネクチントランスジェニックマウス(APN-SE)を用い、急性及び慢性拒絶反応についての検討を行った。慢性拒絶に関してはclass II mismatchの組み合わせ(ドナー:B6.C-H-2^<bm12>KhEg、レシピエント:APN-SE)で移植を行い、8週間後にサクリファイスを行って検討した。 結果:まず、APNレセプター(APN R1, R2)についての検討を行ったところ、心筋の定量PCR及び免疫染色でAPN-SEをレシピエントとした群でAPNR1, R2共にmRNAの発現、レセプター数が増加していることが示された。移植心の内膜肥厚に関して検討したところ、APN-SEをレシピエントとした群(luminal occlusion, 8.88±2.21%)では、wild typeを道いた群(49.37±10.50%)と比較して有意に血管内膜の増殖を抑制できた。次に、定量PCRを用いてサイトカイン、ケモカインのmRNA発現量を検討した。interferon-Y (IFNγ)、tumor necrosis factor-α (TNF-α)、interleukin 2 (IL-2), IL-6、monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)に関してはAPN-SEを用いた群でmRNAの発現が有意に抑制された。MCP-1、IFNγに関しは、ウエスタンブロットでタンパク量を検討し、同様の結果が得られた。また、平滑筋細胞増殖アッセイを行ったところ、APNによって平滑筋細胞の増殖を抑制できることが確認され、さらに、その効果はAdenosine monophosphate-activated protein kinase (AMPK)インヒビターにより抑制されることがわかった。 結論:アディポネクチンは炎症性のサイトカインを抑制すること、および、アディポネクチンレセプターの発現を増加させることによって、心移植の慢性拒絶の抑制に大きな役割を果たしていると考えられる。また、その経路として、AMPKを介した経路が大きく関わっていると考えられる。
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Research Products
(5 results)