2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管病変形成初期における内皮細胞プロテイナーゼ活性化型受容体の役割
Project/Area Number |
20590883
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 真弓 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (80336031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80291516)
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Keywords | 内皮細胞 / プロテイナーゼ活性化型受容体 / ミオシン軽鎖リン酸 / 細胞質Ca^<2+>濃度 / アクチンストレスファイバー / 内皮細胞の透過性 |
Research Abstract |
内皮細胞は、様々な血管障害因子により活性化を受け、動脈硬化の初期病変形成に重要な役割を果たす。その結果、血液凝固系の活性化、平滑筋細胞の増殖、血管透過性の亢進などが惹起され動脈硬化が進行する。本研究では、内皮細胞の活性化や透過性亢進におけるプロテイナーゼ活性化型受容体の役割を明らかにし、動脈硬化の初期病変形成における血液凝固系と内皮細胞機能との相互作用の役割を明らかにする。本年度は内皮バリアー機能に及ぼすトロンビンの作用について以下の研究成果をあげた。 1.Phos-tag^<TM>技術(化合物Phos-tagを含むポリアクリルアミドゲルにおいて、Phos-tagと結合するリン酸化タンパク質は非リン酸化タンパク質と比べ移動度が遅くなる。)を用いて、従来の尿素グリセロール電気泳動法よりも簡便にミオシン軽鎖のリン酸化を定量解析する新たな方法(Phos-tag^<TM>電気泳動法)を開発した。 2.Phos-tag^<TM>電気泳動法を用い、内皮細胞をトロンビンで刺激するとミオシン軽鎖のニリン酸化体が一過性に増加し、一リン酸化体は有意な変化を示さないことを明らかにした。 3.トロンビン受容体PAR1活性化ペプチドで刺激すると、トロンビンの場合と同様にミオシン軽鎖のニリン酸化が一過性に増加した。一方、PAR4活性化ペプチドではニリン酸化は認められなかった。 4.トロンビンおよびPAR1活性化ペプチドでは一過性のCa^<2+>濃度上昇とアクチンストレスファイバーの形成が認められたが、PAR4活性化ペプチドではCa^<2+>濃度上昇とアクチンストレスファイバーの形成ともに認められなかった。 以上の結果から、トロンビンはPAR1を介してミオシンのリン酸化とアクチンストレスファイバーの再構築を引き起こし、内皮細胞の透過性を亢進させることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)