2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管病変形成初期における内皮細胞プロテイナーゼ活性化型受容体の役割
Project/Area Number |
20590883
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 真弓 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (80336031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80291516)
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Keywords | 内皮細胞の透過性 / プロテイナーゼ活性化型受容体 / ミオシン軽鎖リン酸化 / Rhaキナーゼ / G蛋白質 / 細胞質Ca^<2+>濃度 |
Research Abstract |
内皮細胞は、血管内腔を一層に覆い血管透過性や血管緊張などを調節し、血管恒常性維持に重要な役割を果たす。一方、様々な血管障害因子により内皮細胞が障害され活性化を受けると、血液凝固系の活性化、血管透過性亢進(バリアー機能破綻)、平滑筋細胞の増殖などが惹起され、動脈硬化初期病変形成に重要な役割を果たす。本研究では、血液凝固系と血管壁との相互作用を仲介するプロテイナーゼ活性化型受容体という新しい視点から、凝固系と血管内皮細胞の相互作用の仕組みを分子レベルで明らかにし、動脈硬化病変形成の初期過程を理解し、新たな治療標的を確立することを目的とする。本年度は、新しく開発したPhos-tag SDS電気泳動法を用いてミオシン軽鎖リン酸化を、経内皮電気抵抗測定法を用いてバリアー機能を評価し、トロンビンによる血管透過性亢進に関わる分子やシグナル伝達経路について以下の研究成果をあげた。 1.内皮細胞をトロンビン刺激すると、濃度依存性に細胞膜電気抵抗が低下し、透過性亢進が認められた。 2.透過性の亢進の一部は、Rhoキナーゼ、Ga12、Ga13、Gaqのインヒビターにより抑制された。 3.トロンビンによるミオシン軽鎖の二リン酸化は、Rhoキナーゼインヒビターにより完全抑制されたがGaqのインヒビターでは抑制されなかった。 4.トロンビンによるミオシン軽鎖の二リン酸化は、細胞外Ca^<2+>を除去しても抑制されなかった。 5.トロンビンによるCa^<2+>濃度上昇は、Gaqのインヒビターにより抑制されたが、Rhoキナーゼインヒビターでは抑制されなかった。 以上の結果から、内皮細胞においてトロンビンによる透過性亢進は、(1)細胞外Ca^<2+>非依存性でGa12、Ga13、Rhoキナーゼを介したミオシン軽鎖二リン酸化を伴う経路、(3)Gaqを介した細胞質Ca^<2+>濃度上昇を伴う経路の2つのシグナル伝達経路を介することを明らかにした。
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Research Products
(6 results)