2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオポエチンを介する血管新生の分子機構の解明とその喘息治療への応用
Project/Area Number |
20590901
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金澤 博 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (90332957)
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Keywords | VEGF / angiopoietin-2 / angiopoietin-2 / 血管新生 / 肺血管内皮細胞 / 肺微小循環系 |
Research Abstract |
本年度の研究において、喘息患者の気道壁における微小循環系の量的異常を非侵襲的に定量化する方法を確立した。我々は既に、肺血管内皮細胞の恒常性が種々の血管新生促進因子(vascular endothelial growth factor,hepatocyte growth factor,basic fibroblast growth factor等)と抑制因子(endostatin,angiostatin等)のバランスにて規定されていることを明らかにしてきたが、今回はさらに、VEGFの作用を修飾する因子としてAng-1、Ang-2の気道内での定量化を試みた。即ち、肺摘出標本・肺生検標本を用いて、気道壁の新生血管の量的な程度(血管の発芽の定量化も合わせて行う)とVEGF、Ang-1、Ang-2の蛋白量・mRNA量との相関関係を明らかにした。この結果を基に、喘息患者の誘発喀痰中のAng-1、Ang-2の蛋白量を測定し、肺生検標本中のこれら因子の発現量や新生血管の量的な程度との関連性も明らかなものとしたのである。そして、誘発喀痰・マイクロサンプリング法から得られた検体の解析により、非侵襲的な血管新生の定量化法を確立した。さらに、喘息患者の生理学的・臨床的指標とこれらの臨床検体中のAng-1、Ang-2の蛋白量との関連性についても示したのである。次に、VEGFの作用を調節する因子として、Ang-1,Ang-2,Tie-2の肺内局在、及びその生理作用について検討した。肺内の局在については、肺摘出標本・肺生検標本を用いて免疫組織学的に解析し、さらにVEGFとの共存下でのAng-1,Ang-2の生理作用を明らかにしたのである。さらに、喘息患者の気道壁における微小循環系の機能的異常に及ぼすAng-1、Ang-2の生理的役割を明確なものとした。特に、我々が考案したairway vascular permeability indexが気道壁のAng-1、Ang-2量と有意な関連性をもつことを明快に示したのである。
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