2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオポエチンを介する血管新生の分子機構の解明とその喘息治療への応用
Project/Area Number |
20590901
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金澤 博 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (90332957)
|
Keywords | VEGF / angiopoietin-2 / angiopoietin-2 / 血管新生 / 肺血管内皮細胞 / 肺微小循環系 |
Research Abstract |
本年度の研究において、喘息患者の運動負荷後の気道微小血管透過性の亢進がもたらす気道収縮反応の強度と気道壁のAng-1、Ang-2量との関連性について検討した。次いで従来の喘息治療薬が、Ang-1、Ang-2の蛋白量・mRNA量に与える薬理作用、及び気道壁の新生血管の量的な程度や気道の微小血管透過性能に与える作用を検討した。さらに、喘息気道における新生血管の内皮細胞機能障害の評価の可能性についても検討した。我々は、喘息患者に対する運動負荷により肺循環動態がダイナミックに変動し、肺血管内皮細胞に対するshear stressが有意に増加することを確認し、新生血管の内皮細胞にこのような過度のshear stress負荷が加わった際の内皮細胞の反応応答も明らかにした。特に、血管内皮細胞表面マーカ「については網羅的に評価し、正常肺組織の血管内皮細胞との細胞生化学的特性の差異を明確にした。このような結果を背景に運動負荷試験を行い、shear stressに対しての細胞応答の差異を、血管内皮細胞障害により誘導される末梢血中の内皮細胞表面マーカーの濃度変化として捉えることにより、微小循環の内皮細胞機能障害の非侵襲的定量化法として確立した。次いで、shear stress負荷に対する気道内でのトロンビン活性化現象が、喘息気道のみにおいて確認されることを示し、さらに活性化トロンビンがbasic fibroblast growth factor(bFGF)の誘導を介して、気道リモデリングの形成・進展に関与していることを明らかにした。さらに、気道壁のAng-1、Ang-2量と血管内皮細胞機能障害の程度との強い相関関係の存在を初めて明らかなものとした。
|