2008 Fiscal Year Annual Research Report
喘息予備軍の発症要因に関する細胞内シグナルクロストークに基づいた多遺伝子同時解析
Project/Area Number |
20590902
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉川 貴仁 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (10381998)
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Keywords | 喘息予備軍 / 多遺伝子同時解析 / 気道過敏性 |
Research Abstract |
気管支喘息の遺伝子学的な原因探索のために、Genome-wides tudy(GWAS)を含む大規模な研究が盛んに行なわれているが、喘息の厳密な臨床的な定義がなく個々の喘息患者はさまざまな臨床的特徴(phenotype)を種々の程度で併せ持つために、患者(研究対象)の定義が研究間で一定ではなく曖昧で、研究間で一貫したデータが得られないことも多い。アレルギー素因を有するが気管支喘息の症状がない若年成人の10-30%程度が、有症状喘息患者と同様にメサコリン吸入刺激に対する気道過敏性(無症候性気道過敏性)を有しており、疫学的調査では将来の成人発症喘息のハイリスク群と考えられている。彼らは完成された喘息患者のように様々な病像をまだ示しておらず、phenotypeも無症候性気道過敏性という一定の指標で定義できるため、当研究では、このような対象に焦点を絞った。また、解析する候補遺伝子は、気道構成細胞の細胞内シグナルクロストークの知識を踏まえた上で複数個選択することとし、今回は上皮増殖因子受容体(EGFR)とProtease activ ating receptor-1(PAR-1)を選んだ。 本年度は準備段階として、<アレルギー性素因と無症候性気道過敏性>を有する若年成人の被験者を募集し、その基礎データとともにDNAサンプルの収集を行なった。呼吸器症状のない一般大学生に広く参加を募り、合計261名の協力者からスクリーニングデータとDNAサンプルを得た。(1)問診:喘息以外のアレルギー性疾患の有無(専門科によるアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の診断)や小児期の喘鳴や気管支炎の既往、(2)血液:血液好酸球や特異的免疫グロブリンE、(3)呼吸機能:1秒量(FEV1(%predicted)など)、(4)メサコリン吸入に対する気道過敏性閾値(PC_<20>)を測定した。この結果から、募集した大学生261名の中で、アレルギー性素因を有する対象者(アレルギー疾患を有するか、血液検査で何らかのアレルギー素因を認めるもの)は189例であった。さらに189名のうち、PO_<20>がアメリカ胸部疾患学会公認の過敏性陽性の閾値である8.0mg/mlを下回るもの(無症候性気道過敏群)は72例(38%)存在した。
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