2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の全身性炎症における肺ー消化管ネットワークの意義
Project/Area Number |
20590903
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉川 雅則 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (80271203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
友田 恒一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90364059)
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90252395)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 全身性炎症 / 肺-消化管ネットワーク / 喫煙 / 腸内環境 |
Research Abstract |
喫煙による体重減少が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症に関与しているとの仮説を立て、特にエネルギー摂取の観点から消化管に焦点をあてて検討を行った。平成20年度は喫煙曝露が栄養状態と腸内環境に及ぼす変化について検討した。Wistarラットに週5日4週間にわたり喫煙曝露を行い、体重、血漿グレリン濃度、腸内環境の変化について検討した。 結果:1.喫煙曝露は、体重増加および摂餌量を有意に抑制するとともに、両者は正の相関を示した。2.喫煙曝露によって血中acy1-ghrelin濃度は有意に高値を示し、体重および摂餌量と負の相関を認めた。3.喫煙曝露によって回盲部内容物中のBifidobacteriumの減少、有機酸、特に短鎖脂肪酸濃度の低下およびpHの上昇を認めた。4.有機酸濃度と体重は正の相関を示した。 喫煙曝露による摂食量の減少が体重増加の抑制につながり、摂食促進因子であるacy1-ghrelinの血中濃度が代償的に上昇していると考えられた。回盲部内容物では腸内環境の維持に重要なBifidobacteriumが減少し腸管や全身のエネルギー源となる短鎖脂肪酸の濃度は著明に低下していた。以上のことから喫煙曝露による、摂食調節や腸内環境の変化が体重減少と関連していると考えられた。
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