2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来血管内皮前駆細胞の制御によるがん治療の検討
Project/Area Number |
20590910
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大崎 能伸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30191935)
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Keywords | 癌転移 / 肺癌 / 治療 / 血管新生 |
Research Abstract |
骨髄由来の血管前駆細胞の癌増殖,および転移病巣形成に与える影響を詳細に検討するために,GFPラベルマウスの骨髄細胞をヌードマウスに骨髄移植したモデルを作製した.骨髄ドナーには,wild-type,IPノックアウトマウスを選択し,レシピエントには C57BL/6J,ICR nu/nuを選択した.IPは骨髄由来の血管前駆細胞の動員に必要なプロスタグランディンI2の受容体である.これらレシピエントマウスに肺癌細胞を移植することで,癌病巣の形成や,転移の形成に骨髄由来の血管前駆細胞がどのような役割を果たすか,IPの存在の意義を解析することができる.この解析のために,ルイス肺癌培養株(LLC)にDsREDを組み込んだLLC/DsREDとヒト肺癌細胞培養株A549にGFPを組み込んだA549/GFPを作製した.結果(1):wild-type C57BL/6JにLLC/DsREDを静注すると,赤色蛍光する肺転移巣が形成された.(2):wild-type/GFP骨髄を移植したC57BL/6JにLLC/DsREDを静注しても肺転移巣の形成に変化はなかった。(3)IPノックアウトマウスの骨髄を移植した C57BL/6JにLLC/DsREDを静注すると肺転移巣が有意に増加した.この(1),(2),(3)の実験により,骨髄移植自体はLLC/DsREDの肺転移巣の形成に関係しないこと,骨髄細胞のIPの存在が肺転移巣の形成に関連することが示された.次に,同様の検討をA549/GFPと骨髄移植ICR nu/nuマウスを用いて行った.その結果,LLC/DsREDでの検討と同様に,IPノックアウト骨髄移植モデルで肺転移巣が有意に増加することを見出した 本検討の結果は,骨髄細胞の動員が肺癌の肺転移形成に不可欠である可能性を明らかにし,癌の新たな治療戦略を立てる上で極めて重要な結果を示していると考えられる
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Research Products
(8 results)