2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性気道炎症に対する気道上皮細胞の制御機構の解析と新規治療の開発
Project/Area Number |
20590913
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
有馬 雅史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00202763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20208523)
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Keywords | 気道上皮細胞 / 気道炎症 / 転写因子 / Bcl6 / Th2/Th1サイトカイン |
Research Abstract |
本研究は、気道炎症におけるケモカイン産生の機能調節方法の研究を行うことによって、多くの慢性肺炎症性疾患に対する新規の治療法の開発を目指す。申請者らはヒトとマウスで類似したMCP-1を含むケモカイン遺伝子群のクラスター領域を見出しており、この領域において転写抑制因子であるBCL6の結合領域が数多く存在することを見出している。生体内でBCL6が気道上皮細胞においてこれらケモカイン遺伝子クラスターに対して発現をクロマチンレベルで統合的に抑制することから、サーファクタントA遺伝子プロモーターを利用して気道上皮細胞特異的にBCL6およびBCL6-ドミナントネガティブ遺伝子が過剰発現するトランスジェニックマウスに対してブレオマイシン吸入による肺線維症モデルを作製して解析した。その結果、BCL6によるケモカイン産生の抑制が肺線維症を抑制することが明らかになった。一方、肺線維症にTh2サイトカイン関与することが今までに示唆されており、BCL6はTh2サイトカインの産生を抑制することから、ヘルパーT細胞からのサイトカインの影響を明らかにする目的で、リンパ球にBCL6が過剰発現するLck-BCL6-トランスジェニックマウスを用いた卵白アルブミン抗原誘導性気道アレルギーモデルにおけるブレオマイシンによる肺線維症について解析した。その結果、肺線維化に対してTh2サイトカインの明らかな関与を認めなかった。これらの結果から、肺線維化には気道上皮細胞から産生されるMCP-1を含む複数のケモカインが重要な役割をしていることを明らかにした。また、BCL6は気道上皮細胞のケモカイン遺伝子クラスターに存在するケモカイン遺伝子群の発現を網羅的に制御することによって気道炎症を抑制することが示唆された。
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Research Products
(5 results)