2008 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症候群による時計遺伝子障害に関する研究
Project/Area Number |
20590923
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鰤岡 直人 Tottori University, 医学部, 准教授 (50252854)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 時計遺伝子 / 内科学 / 低酸素 / IL-6 / VEGF / 生理学 |
Research Abstract |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は,交感神経機能亢進以外に持続的低酸素血症でなく間歇的低酸素血症を引き起こす.本年度は持続的低酸素血症による転写因子HIF-1を介した標的遺伝子VEGF発現および間歇的低酸素血症による転写因子NF-kBを介した標的遺伝子IL-6発現を中心に検討した.さらに時計遺伝子のうち,重要なPeriod1遺伝子発現が低酸素で変化するか検討した. (1)培養細胞A549を用いin vitroで持続的低酸素状態あるいは間歇的低酸素状態がVEGF mRNA,IL-6 mRNA,時計遺伝子Period1 mRNA発現に影響をどの程度およぼすか明らかにした.方法は培養細胞をインキュベーター内で,1)20%02+5%CO2(コントロール)2)2%O2+5%CO2(持続的低酸素)3)20%O2+5%CO2と2%O2+5%CO2を交互に切り替える(間歇的低酸素)の3つの条件でVEGF mRNA,IL-6 mRNA,Period1 mRNA発現をRT-PCR法で調べた.結果として持続的低酸素状態でVEGF mRNA発現は亢進したが,IL-6 mRNA,Period1 mRNA発現を認めなかった.間歇的低酸素状態でIL-6 mRNA発現は亢進したが,VEGF mRNA,Period1 mRNA発現を認めなかった.少なくとも持続的あるいは間歇的低酸素状態ともに,時計遺伝子Period1 mRNA発現に影響を与えないことが明らかになった.間歇的低酸素状態で炎症性サイトカインのIL-6産生が亢進すると推測された. (2)実際のOSAS患者14人の血清VEGF,IL-6濃度を朝6時に測定した.OSAS患者は睡眠中,著明な間歇的低酸素血症を認めた.正常者,OSAS患者,CPAP治療中の3群間で血清VEGF濃度に有意な変化を認めなかったが,血清IL-6濃度はOSAS患者で有意に高値でCPAP治療で有意に低下した.生体においてもin vitroの結果を支持する結果が得られた. 結論として,(1)OSAS患者の間歇的低酸素血症はVEGF産生に影響は少なく,IL-6産生に大きな影響を及ぼす.(2)低酸素状態は時計遺伝子Period1 mRNA発現に影響を与えない.
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Research Products
(4 results)