2010 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症候群による時計遺伝子障害に関する研究
Project/Area Number |
20590923
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鰤岡 直人 鳥取大学, 医学部, 教授 (50252854)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 間歇的低酸素 / 時計遺伝子 / IL-6 / VEGF |
Research Abstract |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は無呼吸による睡眠時・間歇的低酸素血症,交感神経機能亢進,睡眠構築障害が生じ,時計遺伝子に対する影響が疑われていたが明確にされてこなかった.特にOSAS患者は睡眠中に持続的低酸素血症ではなく間歇的低酸素血症が生じる.間歇的低酸素状態の時計遺伝子発現変化および炎症性サイトカイン産生に対する影響を明らかにすればOSASの臨床病態を新しい観点から明確にする可能性がある.培養細胞実験で間歌的低酸素状態は転写因子NF-κBのシグナル経路を活性化した.転写因子NF-κBの標的遺伝子としてIL-6,転写因子HIF-1の標的遺伝子としてVEGFのmRNA発現を調べた(RT-PCR).持続的低酸素状態でVEGF mRNA発現が亢進したがIL-6mRNA発現は変化なかった.逆に間歇的低酸素状態はIL-6mRNA発現を亢進したがVEGF mRNA発現は変化なかった.結果,間歇的低酸素状態では生体においても炎症サイトカインIL-6mRNA発現が亢進する可能性がある.実際,ELISAを用いて健常者,OSAS患者の血清IL-6濃度を測定するとOSAS患者群で健常者群に比べて有意に上昇していた.さらにOSAS患者群の血清IL-6濃度は3ヶ月の持続気道陽圧(CPAP)呼吸療法で低下した.一方,持続的,間歇的低酸素状態は両者とも時計遺伝子の発現に影響しなかった.結論として間歌的低酸素状態は時計遺伝子発現に影響を与えないがIL-6産生に関与しOSAS患者の全身炎症の一因となる可能性がある.OSAS患者群の睡眠時・間歇的低酸素血症の治療は全身性炎症改善の面からもCPAP療法が有用である.低酸素は時計遺伝子に直接的には影響を及ぼさないが生体内で間接的に影響を及ぼす可能性もあり,今後も検討が必要と思われる.
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Research Products
(3 results)