2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590924
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石川 暢久 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90423368)
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Keywords | 肺癌 / バイオマーカー |
Research Abstract |
本年度は、大きく以下の2つのアプローチを用いて検討を行った。 1.肺癌の人種的な差異の解明 本年度は肺癌患者症例の検体の収集を行い、日本人100症例の検体を収集した。すでに、収集済みの600症例(肺癌300症例、健常人300症例)の血清検体に関しては、血清KL-6値ならびにSLAK値の測定を終了した。現在、予後を含めた臨床病理学的因子の検討を行っているところである。80症例の肺癌組織を用いて、組織免疫染色を行い、各バイオマーカーの肺癌における発現と臨床病理学的因子の検討を行った。ムチン長の検討に関しては、肺癌細胞株30株、肺癌患者200症例、健常人200症例より、ゲノムDNAを抽出した。Real time定量PCRシステムを用いてムチンの遺伝子多型の検討を条件検討の済んだものから順次行っているところである。次年度以降には、海外の新たな共同研究者を含め、症例を増やして検討をおこないたいと考えている。 2.肺癌マウスモデルを用いたEGFR-TKI耐性機序の解明と新たな治療戦略の開発 本研究に際しては、抗KL-6抗体の精製が必要になるが、本年度はハイブリドーマより、抗体精製キット用いて、抗KL-6抗体の大量精製を行った。また、肺癌細胞株30株を用いて同所移植モデルの構築を行い、肺内に腫瘍を形成するとともに縦隔リンパ節転移を来すことについて確認した。また、肺癌細胞株30株を用いて、FACS解析を行いムチン関連分子の肺癌細胞株における発現を検討した。EGFR遺伝子変異の解析も行い、ムチン関連分子の発現は、野生型においてのみ、EGFR-TKIの感受性に関与することを見出した。多数の臨床検体を用いた確認を行っているところである。ムチン関連分子のEGFR-TKI耐性機構への関与、抗KL-6抗体によるEGFR-TKI耐性克服の可能性については、条件設定に時間がかかったが、次年度以降に明らかにしたいと考えている。
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